江戸時代の実話をもとに作られた『お夏清十郎』というお話があります。
あらすじとしては、大店の娘・お夏が手代の清十郎と恋仲になって駆け落ちを図るもののすぐに見つかって連れ戻され、清十郎は誘拐の罪に問われて斬首となり、お夏は悲しみのあまり気がふれてしまう...という悲恋のお話です。
歌舞伎や浄瑠璃の題材として親しまれ、昭和に入ってからも美空ひばりと市川雷蔵で映画化されたりもしています。
角川映画HPより |
さて、貝塚市にある水間公園を訪ねたら、園内の池に架かる橋に「恋人の聖地-愛染橋」という看板が建っていて、なんだか中世の武家風の若者と姫が椿の花に囲まれて寄り添っているイラストが付いていました。
大阪で恋人といえば、たいていは『お夏清十郎』か『愛染かつら』なのですが、後者は昭和時代が舞台なので、ここは『お夏清十郎』だと判断しました。
しかし、上記のようなあらすじなので恋人たちが好んでお参りするようなものでもないし、だいたいお夏も清十郎も貝塚になんか来ていないはず。
いったいこの赤い橋で誰が何をしたのかと考えて水間寺のサイトを見ると、知ってる話とはかなり違うストーリーが書かれていました。
約700年前、伏見天皇の勅使御参侯の随身に山名清十郎という美男子ありしが、当日勅使饗応のために村下の豪農楠右衛門の娘、お夏が出仕し、これまた鄙にまれな美女にて、いつしか相い思いつつもその場は別れ、その後、お夏は境内愛染明王に毎夜祈願致し、その甲斐あってか間もなく南北朝の戦いが始まり、清十郎は先陣を承り、住吉渡辺橋に戦功を立てしも、敗者の身となりしを聞き、お夏は愛染橋の加護により、奇しくも住吉の松原にて清十郎に巡り会い、水間に手に手を取って帰り、仲睦まじく想いを遂げ、苔下の露と消ゆと伝う。
よく知られたお話とは時代も二人の立場も違うし、ラストもハッピーエンドです。どうやら貝塚には、名前が同じだけでまったく別人のお夏と清十郎がいたようです。
水間寺にはお夏清十郎のお墓もありますし、「タイムスリップ転生もの」ってやつでしょうか。
さて、そんな水間公園は、天台宗の古刹・水間寺の裏山の一部を都市公園としたものです。
山上は芝生敷きの広場になっていて、ここまで来れば明らかに公園敷地です。
でも芝生広場の周りにも、鐘楼や石臼観音といったお寺側のアイテムが建ち並んでおり、境界線は限りなく曖昧です。
こちらの石臼観音など、公園の噴水だと言われればそうかと思ってしまいますが、「妊婦の方が石臼の周囲を廻ると安産につながると云い伝えられており...」と書かれた看板があったので、やっぱりお寺の施設のようです。
この芝生広場からさらにもう一段高いところに展望台があるようなのですが、訪れた時はそこに向かう園路が通行止めになっていました。
仕方がないので、芝生広場からは一段下がった遊具広場の方へと向かいます。
ここには大きなガケ滑り台があるのですが、子供が遊んでいたので写真は遠目で一枚だけ。
遊具広場からさらに下がっていくと、冒頭に登場した呑波池と愛染橋があります。
私が訪ねたのは、まだ寒い2月のことでしたが、花の季節になれば池の畔がピンクに染まり、恋人たちの聖地感が増すことと思われます。
- どのような認定基準があるのでしょうか?
- 申請したのに認定されなかった「落第聖地」も存在するのでしょうか?
- 認定には申請料や登録料などが必要なのでしょうか?
- 登録の更新料を払わなかったら取り消されることもあるのでしょうか? ...等々
「貝塚のお夏清十郎」や「恋人の聖地認定問題」といった数々の謎が残った水間公園でした。
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