宮崎市の蓮ヶ池史跡公園は、国史跡蓮ヶ池横穴群を取り込んだ史跡公園で、日本の歴史公園100選にも選ばれています。
資料によれば史跡指定は1971年(昭和46年)、見学施設を含めた史跡公園として整備が終わったのが1992年(平成4年)だということなので、史跡指定からはだいたい50年、整備からは30年ほどが経過しています。
宮崎市街地からは5~6kmほど北に離れ、周りはそこそこ住宅開発がされているのですが、横穴群のある丘一体が保存されています。ただし、どこまでが公園・史跡の範囲で、どこからがただの山なのかはよくわかりません。
てっきり駐車場横の大きな池が「蓮ヶ池」だと思ったのですが、現地の案内板によれば、池名は田池、中池、御諏訪池などとなっており、蓮ヶ池というのは無いようです。でも上写真のように、中池は一面の蓮なので、通称が蓮ヶ池なのかも知れません。
こちらが利用拠点となる歴史文化館なのですが、すでに閉鎖されているようだったので、中には入りませんでした。
拠点施設が閉まっていると平日の昼間から郊外の史跡公園まで来る人は少ないのか、無料で停められる大きな駐車場はスカスカ。その状況を活かして、宅配業者の皆さんの積替え場になっていました。
そして、歴史文化館が閉鎖になって、常に園内を見て回るスタッフがいなくなったからでしょうか、屋外に展示されている茅葺屋根の建物は、かなり朽ち始めていました。
厩の建物で人が住むわけではないので、リアリティの面からはこれくらいで充分なのですが、危ないので近づくのは止めておきましょう。
拠点施設の東・西の谷筋に横穴が分布しているようなので、まず大きめの西の谷から。
横穴(横穴墓)とは、山裾の斜面に横穴を掘って作ったお墓のことです。
九州から関東・東北南部まで広い範囲に分布し、あちこちで目にするのですが、本ブログではNo.403 馬陵公園で登場しただけでした。
保存復元された横穴の外観。
口の部分がセメント板で塞がれているのは、後から無理やりくっつけたようにも見えますが、どうでしょうか。中に入り込んでイタズラをする人がいたのでしょうか。
横穴内部の展示。
奥の方に人骨が、その手前に土器が並べられています。土器類は、埋葬時の祭祀で使われたのでしょうか。
横穴から少しそれれば、普通に公園として気持ちの良い園路や、ホタルが飛んでいそうな沢などもあります。
沢に沿ってもっと進むと高台の方へ行けるようなのですが、今日のところは止めておきます
続いて東側の谷。谷出口に溜池(御諏訪池)があり、その池端の遊歩道を歩いて登ります。
しばらく進むと、竪穴式住居のムラが現れました。ここは横穴墓群の史跡で、おそらく住居跡は見つかっていないと思うので、歴史文化館の展示物として作られたものと思われます。
そして初めの方に出てきた厩建物以上に崩れ始めているところがあるため、エリア全体が立入禁止になっています。
茅葺きが朽ちてしまっているのだろうとは思いますが、各地の復元施設では、意外にこういう「屋根を葺く前の骨組みの状態」を見ることができないので、展示物だと思って眺めるとそれなりに楽しめます。
もう少し進むと茂みの奥の山裾に、いくつか横穴があるのが見えました。さっき見た西の谷のものよりも、さらに埋もれ始めており、だんだんと公園整備前の姿に戻りつつあるようです。
そして谷の一番奥が、イベント広場と名付けられた林間の小広場。
許してもらえるなら、テントを張ってキャンプでもしたい雰囲気です。
イベントステージもあるので、ミニコンサートくらいならできそうです。
整備から時間が経ち、少々草臥れ気味ではあるのですが、地域の歴史と文化を伝える蓮ヶ池史跡公園でした。
(2022年6月訪問)
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