3510/1000 瑞宝寺公園(神戸市北区)

2023/12/20

神戸市北区 身近な公園 日本の歴史公園100選 兵庫県

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瑞宝寺(ずいほうじ)公園は、有馬温泉街でも外れの方、山との繋ぎ目の部分にある公園で、秋の紅葉の名所として知られています。
元々は江戸初期に開かれた瑞宝寺という黄檗宗のお寺の境内地で、1873年(明治6年)に廃寺となった後に、1951年(昭和26年)に市が土地を購入して公園として整備されたものです。廃寺になった時期からして、廃仏毀釈の影響があったのではないかと考えますが、詳しいことはわかりません。

また、有馬温泉を愛した豊臣秀吉がたびたび訪れていた場所ともされており、山あいの美しい景色の中にお寺や秀吉に因むものが残されていて、日本の歴史公園100選にも選ばれています。

上に書いたようなことが、現地の案内板や神戸市のHPなど色々なところに書かれているのですが、ブログ作者としては、今ひとつ腑に落ちない内容であるのも事実です。

■現地の解説板より「瑞宝寺公園」
瑞宝寺公園は明治6年(1873年)に廃寺になった瑞宝寺跡が昭和26年に神戸市の公園になったものである。瑞宝寺は慶長9年(1604年)に当地の大黒屋宗雪が開いた瑞宝庵にその緒を発している。宗雪の孫三七郎は宇治黄栗山万福寺に帰依して木庵禅師より寂宕道空を受号、寛文13年(1673年)この地に帰山して瑞宝寺開基となりその基礎を確立した。
四代を経て文化年間、当山の中興となった黄檗25代華頂文秀禅師の代に至って初めて堂伽藍すべて完備を見たがその法弟慧定直戒はもっぱら境内の整備に意をそそぎ、とりわけ楓桜の植樹に努めた今日天下一の紅葉の名勝として喧伝せられる『錦編』あるいは『日暮しの庭』の雅名はすでにこの慧定の時代から世に知られていたものである。
明治以後堂舎のすべては滅び去り、今ある山門は明治初年(1868)伏見桃山城から移設されたもので昭和51年に一部瓦葺であったものを鋼板葺に修復した。
園内には開基寂岩他歴代の墓碑や豊公遺愛の石の基盤大古の滝などがあり、毎年紅葉の11月には豊公を偲ぶ有馬大茶会の野点が催されている。

まずよくわからないのは「山門は明治初年に伏見桃山城から移設された」という部分です。
というのも、伏見城(桃山城)は安土桃山~江戸初期の30年ほどの短い期間だけ存在し、それも地震や戦乱で大破しては少しずつ場所を移して建て替えられた城で、最終的には一国一城令に基づいて廃城になったという歴史を持つ城なのです。

廃城時に櫓や門などが各地の城や寺に移築・再利用されたと伝えられているのですが、それから250年くらい経った明治初年に、いったいどこの伏見城から、どういう経緯でこの山門を移築したのかが全く書かれていないので、ブログ作者としては「たぶん有馬温泉好きだった秀吉つながりで生まれた伝承のようなもの」だと疑って話半分に読んでいます。

でも、その割にはハッキリと「移築された」と書かれているので、なにか史料・文献に記録が残っているのかも知れません。古い解説板だけでなく、最近建てられたものにも4ヵ国語で世界に向けて同じことが書いてあるからなぁ。

あと「明治6年に廃寺になった」とは言うものの、戦前の観光案内図や陸地測量部地図とかには、はっきりと「瑞宝寺卍」とあり、講堂くらいの大きさの建物が描かれていることも気になります。
木造建物を何の管理もせずに60年も放っておいたら朽ち果ててしまうので、「”黄檗宗瑞宝寺”としては廃寺になっても、戦時中くらいまで何らかの形でお寺として存続してたのでは?」と考えてみるのですが、今は調べが足りません。

1932年(昭和7年)要修

さて、やっと園内に入ります。
こちらが疑惑の山門ですが、ここが公園の正面ゲートというわけでもなく、そもそも六甲山系の山林とひと続きみたいな敷地なので、ハイキング道など色んなところから出入りできます。

山門のすぐ奥に「錦繍亭」と額の架かった大型東屋があり、この点からも「公園にする直前まで、ここに建物があったのでは?」という疑念が生じます。

園内はだいたいはこんな感じで、木立の中を園路が縦横に通り、所々に名所や休憩場所、小広場などがあるような形です。いわば回遊式公園。

こちらは秀吉が使ったとされる石の碁盤。中央が碁盤で、対局者と観戦者のために四方に腰掛け石が置かれています。周りは「日暮しの庭」と呼ばれる紅葉の名所だったそうですが、今はどちらかと言えば常緑樹が多くなっています。

■現地の解説板より「石の碁盤」
晩秋、紅葉を賞でている間に思わず終日を過ごしてしまったという「日暮しの庭」に、今なお残るこの石の碁盤は、その昔、豊太閤がこれを囲んで心ゆくまで一日の清遊を楽しんだといわれている。

盤面には、うっすらと線が有るような、無いような。
「弁慶の足あと」とか「名将駒繋ぎの松」とかの類でしょうが、周りの石組みも含めて、いささか作り込みが過ぎるように思います。

こちらは瑞宝寺歴代の塔。

休憩所は様々な形のものがありますが、公園の雰囲気にあわせた木造のものが多くなっています。
しっとりと雨の降る日に、こんなところで休むのも良いものです。


住宅に近いところには、少しだけ遊具も置かれています。

紅葉の名所ですが、冬はツバキの花や冬枯れの景色が楽しめます。

古い名所を公園にしているだけに、なんだか腑に落ちないことも多く、その歴史についてもっと知りたくなった瑞宝寺公園でした。いやほんとに。

(2023年2月訪問)

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