1245/1000 真嘉比南公園(沖縄県那覇市)

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那覇新都心の東隣にあたる真嘉比(まかび)・古島(ふるじま)地区は、昭和の終わりから20年以上かけて区画整理が行われてできた住宅地区です。

1945年(昭和20年)の沖縄戦の後、新都心にあたる区域が米軍に接収されたことにより、その隣接地だった真嘉比・古島地区では農地や荒地が無秩序なままに宅地として開発され、道路や下水道などの整備も不十分な状態が続いていました。そこで区画整理事業が実施され、5年ほど前に事業が終了。今はそれらの土地に次々と新しい住宅が建ち始めているところです。
その一角、真嘉比小学校、幼稚園に隣接するところに真嘉比南公園があります。

しかし70年前、この付近は沖縄戦でも最大の激戦地とされる丘陵地でした。
沖縄県中部に上陸した米軍は、陸軍司令部の置かれた首里城を目指して南進します。日本軍の防衛線は次々と破られ、ついに首里城まで約2kmのこの付近にあった幾つかの独立丘を陣地としての戦いが始まります。
この時、攻める米軍が丘につけた名前が、新都心側がシュガーローフ、真嘉比側がハーフムーンと言い、攻防戦を「シュガーローフの戦い」と呼びます。
Wikipediaに掲載されている図面を見ると、中央右寄りにザ・ハーフムーンがあり、その北に"Makabe"(真嘉比のこと)の記載もあります。
Wikipedia「シュガーローフの戦い」より引用して表示
5月16日~17日にかけての米軍の進撃図

丘をめぐる攻防は7日間続き、Wikipediaによれば米軍だけで2,662人の死傷者を出して付近を制圧、日本軍はその数倍に上るものの詳細は不明という結果になります。
そのうちのハーフムーンの一部を保存したものが、この真嘉比南公園ということになります。

上の地図で見ると、ざっくり300~400メートルほど長さで丘が続いていたようですが、区画整理事業で大半は削り取られ、突先の20メートルほどが公園区域として残されているような格好です。

公園内から見ると、上写真の盛り上がり部は地形を残したものか、盛土をしたものかもよくわからないのですが、公園外に回ってみるとこうなっていますので、周囲を切り下げて平坦地を作る際に、元々あった丘の一部を残したものだろうと想像できます。

丘の上には遊歩道が通じており、その途中に解説板が設けられていました。

■現地の解説板より「大道森(だいどうむい)ハーフムーンヒル」
ここ大道森は沖縄戦の激戦地であった。半月に見えたことから米軍はハーフムーンヒルと呼び、攻撃目標としていた。
西側に連なる丘の慶良間チージ(シュガーローフヒル)が米軍に奪取されたのちも、米軍は首里への攻勢を強め、1945年5月27日、首里の第32軍司令部は南部へ撤退した。沖縄戦は、首里攻防戦で事実上決着していたが、多くの住民をまきこんだ南部戦跡の悲劇は6月末まで続いた。
戦後、当地では大規模な開発が行われることがなかったが、土地区画整理事業の進展に伴い、沖縄戦当時の遺物や遺骨が発見され、平成20年度に那覇市とNPO団体との協働で市民参加による遺骨収集を行った。
上部に設置している石壁は、土地区画整理事業地内で発見されたもので、沖縄戦当時の弾痕がはっきりと残っており、市内から消えつつある戦争の痕跡を次世代に伝えるべく当公園に移設したものである。
説明板横の薬きょう等も、土地区画整理事業地内から発見されたものであり、その一部を展示している。

区画整理の際には相当な量の遺骨・遺品が見つかったそうで、遺品の一部が解説板の中に保存展示されていました。
薬莢、上着のボタン、銃剣、水筒、小銃などが石碑にはめ込まれた箱のようなものの中に展示されているのですが、雨の後には箱の中が曇っており、ということは気密性が低いということなので、遠からず遺品が傷んでしまうのではないかと心配になってしまいます。
実物展示というアイディアは良いのですが、実現する難しさを感じてしまいます。

と、このような公園ですので、思い切って戦跡保存に特化した公園としても良かったように思うのですが、そこは多数の利害関係者が絡む区画整理事業の難しいところなのでしょうか、ボチボチと遊具も置かれています。
訪れた時は故障しているのか、柵で囲まれて使用禁止になっていましたが。

今や戦跡だろうが慰霊碑だろうがポケモンのすみかにされてしまう時代ですし、戦争が終わればその跡地でも人が暮らしていかねばなりませんから、甘っちょろいことばかり言っていても仕方がないのですが、園内を見回すと「残すこと」「語り継ぐこと」の大変さを感じてしまう真嘉比南公園でした。

【関連動画】NHK沖縄戦70年 戦争と証言 ハーフムーン(那覇市)放送日H20.7.2

(2016年1月訪問)

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