まず変わっているのは、その立地。
阪神・尼崎駅の北側にピッタリと隣接しています。
公園北側の大きな出入口から並木道をズンズン進むと、駅の北口に直結しています。
反対に駅北口から公園内を見ると、この通り。
駅を出てきた人に対しても、ちゃんと「中央公園である」と名乗っており、公園の案内図まで設置されています。
また、市民からの緑化や花づくりなどの相談を受け付ける「緑の相談所」も置かれており、尼崎市の中心的な公園であることは疑いようもありません。
そして中央公園らしく、いくつもの石碑も設置されています。
こちらは駅前広場には不釣り合いなほどに大きなクスノキと花壇のある広場そして「尼崎に緑と青空を」の石碑(芝生広場は冬なのでなにも見えませんが、季節になるとチューリップなどが美しく咲きます)、
工都・尼崎を讃えるモニュメント(伸びた枝がかかってしまい顔の部分がよく見えませんが)、
躍進する工都 尼崎の姿
踏み締める大地 火と燃ゆる情熱
鎚の響きたくましく 永遠に輝く
繁栄の鍵は 守り継がれる
昭和初期に大きな被害をもたらした室戸台風とジェーン台風の際の浸水深さをしめした高潮標などが設置されています。
ちなみに、下の写真で写っているのはO.P.+2.10メートル(大阪湾の最低潮位から2.1メートル上)の平均満潮位のプレート。すなわち、何事もない普段の満潮位でも、尼崎駅前の地面に対してこの高さまで来ているということです。
標柱のもっと上の方の写っていないところには、ジェーン台風で+4.30メートル、室戸台風で+5.10メートルのプレートも付いています。
■高潮標
この高潮標は、室戸台風(昭和9年9月27日)とジェーン台風(昭和25年9月3日)の高潮により、尼崎市が大きな被害を受けた時のもっとも高かった海面の水位を示します。
もう一つ変わっているのは、公園の構造。
公園の東半分が2階建てになっており、2階が公園、1階はバスターミナルになっています。
これは駅前が公園として都市計画決定されている中で、なんとかバスターミナルを確保したいがために編み出された手法のようで、今までに本ブログに登場した屋上公園が「他施設の屋上を公園が占用する」ものだったのに対して、ここは「公園の下部をバスターミナル(交通広場)が占用する」という逆の形になっています。
エスカレーターで上っていった先にある2階部分の公園は、花壇や噴水、パーゴラ、ちょっとした腰掛けなどがあって緑・水が多く配置されており、普通の駅前のペデストリアンデッキがあくまで「少し広めの歩行者通路」であるのに対して、ここは「人通りの多い公園」であることを主張しているようです。
そして、このデッキは公園区域をはみ出し、そのまま駅東の再開発ビル・マンション群と繋がっています。
それにしても、あまり古い時期のことはよく知らないのですが、市の中心駅の直近に公園を計画・整備するにあたっては、「交通ターミナルを優先させるべき」「商業用地の方がよろしい」など、色々な議論があったと思われます。
そして、ここが公園でなければ、おそらく人が歩くことは大して考慮もされずに車用のロータリーばかりが幅をきかす駅前、そうでなければ無機質な高層ビルの足元に申し訳程度に広場が置かれた駅前、例えて言えばJR尼崎駅北側の再開発のように味も素っ気もない空間になっていたであろうことも容易に想像されます
(JR尼崎駅をご存じでない方、すみません...)。
計画決定をした時に、今のような駅前の姿を考えてはいなかったようにも思いますが、現在の駅・公園・交通広場の一体性は、尼崎にとって素晴らしい財産になっていると思います、もっともっと活用が進めば良いと思います。
(2014年1~2月訪問)
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