西宮市街地を流れる東川(ひがしがわ)は、全体的に河道が直線的で急勾配、かつ付近の市街化が進んでいるため狭い川幅で二面張の整備がされているところが多い都市河川ですが、阪急線とJR線の間に2ヵ所だけ川面近くにまで下りられるように整備されているところがあります。
このうち、No.3086 東川親水中公園の下流500メートルほどの場所にあるのが東川親水南公園です。
ひとつ上流の親水中公園では、自然風の不規則な曲線で水辺に近づいていく階段でしたが、こちらは円形劇場のように規則的な階段が作られています。
その中でも、より低い位置で頻繁に水を被るところは全面石張りに、高い位置は草芝で仕上げて、最上段はぐるりと大きなパーゴラを置いています。
パーゴラは沿道からすぐ見えるところにあり、ここから川の方を隅々まで見渡せるようになっているので、園内外を繋ぐ役割を果たしています。
パーゴラの下の中心部から、川沿いのステージ部分に向けて水が流れていく水景施設が作られているのですが、訪れた時は落ち葉が積もって機能停止していました。
水際の高さまで下りてみます。
高さ3メートル以上ある切り立った護岸のうえ、もともとの川幅が狭いので、片側を親水護岸にして広がりを持たせているとは言え、まぁまぁの圧迫感があります。
水遊びなどができる機能を考えれば、このステージ状の部分は不要で、ワンド状に流れの幅が広がっている方が良かったようにも思います。
靴のまま近づける水際ギリギリのところでしゃがんで、上流側を眺めます。
水そのものが汚いことはなく、流れも浅く緩やかなので、No.3086までジャブジャブと歩いて行けそうです。両側の道を歩く人から声をかけられることは必至ですが。
ここで気づいたのですが、対岸側は親水護岸にこそなっていないものの、道路沿いの固定柵が途切れてチェーン柵に変わり、細い階段で護岸の中程までなら下りられるようになっています。そして、下りた先には細い犬走りくらいの通路上のものが通っていて、上下流に歩いていけるようになっています。
あまり都市河川の護岸としても見たことがない構造で、親水公園の整備と一緒につくられたものなのか、護岸の維持・管理のために必要な構造なのか等、詳しいことはわかりません。
少し離れたところから撮影すると、こんな感じです。う~む、何用途なのかまったく思いつかない...
園内にはステージ部分とは別にもう1ヵ所、水際にアプローチできるところもありました。
こちらのほうが、ややワイルドな仕立てです。
小さな公園のわりには、意外に多様な水面へのアプローチが取られている東川親水南公園でした。
(2021年11月訪問)
【2023年1月追記】
対岸に見えていた謎の小段について、コメント欄で「以前は滝のように水が流れていた」と教えていただいたので、近くを通りがかったついでに確認してきました。
確かに、グレーチングの下には水の溜まった溝があり、中にパイプが通っています。
はっきりと水が流れ落ちる道のようなものはないので、溝全体から水が溢れ出して、階段状になった壁全体を覆うように流れ落ちていたものと思われます。
「せっかくの親水公園なのに、対岸が味気ない垂直護岸では落ち着かない」という製作者側の気持ちはわからないでもないのですが、住宅地の中の小河川にわざわざ付けるような仕掛けではないと言えましょう。
画像がある落ち葉が積もっている水の流れる設備は元々は手押しポンプが設置されていました。
返信削除阪神淡路大震災の後に撤去されました。
現在は喫煙所のようになっていてこの落ち葉が積もってたところに吸い殻がたまっています。
もう1の対岸の細い階段は出来た頃は階段の上が網になっていてそこから水が流れ出て水量は多くない滝のようになっていました。
川の水を循環させていたので階段のところはその名残で赤錆た色になっています。
こちらも震災前の話です。
出来た当時は滝や手押しポンプに藤棚に綺麗な藤が咲いて素敵な公園でしたが残念ながら今は朝から喫煙目的の人が集まり夜は若い人の溜まり場のようになっています。
みやっこさん
削除ブログ作者です、コメントありがとうございます。
なるほど、一番の謎だった対岸の階段のようなものの由来がわかりました。
川の両岸を使って水に触れたり眺めたりできるよう、かなり色々な設備を入れていたのですね。
作る時にはやたらと多くの設備を入れて、壊れるとそれっきりというのが日本の公園の悪いところですが、この公園がまたいつか多くの人が集う場所として蘇るよう祈っております。