3056/1000 泊城公園(沖縄県読谷村)

2022/07/16

沖縄県 海辺の公園 擬木の世界 戦争遺跡 読谷村

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読谷村の南西部、嘉手納町との境界にあたる比謝川の河口に面した渡具知(トグチ)は、古い時代には天然の良港として栄えたそうですが、今ははっきりとした港はありません。

とは言え沖縄が外敵に攻められた薩摩藩の琉球侵攻、米軍の沖縄上陸の2回とも上陸地点の一つに選ばれているので、西海岸から入って首里に向かうための適地だったのだろうと思います。

ここに泊城(トゥマイグスク;トマリグスク)があり、戦前から海に面した奇岩の景勝地として知られていたそうですが、現在はこの奇岩を含め、バーベキュー場などがある砂浜、砂浜に面した岩場、岩場上の眺望ポイントなどがまとめて泊城公園となっています。

言い伝えとしては、本部大主の謀反により今帰仁城を追い出された按司の息子・千代松がここトゥマイグシクまで逃げのび、あだ討ちの機会をうかがったという話が伝わっているそうです。
現代風の新しい解説板もありますが、40年以上前の解説碑の方が良い味を出していたのでご紹介。

■解説碑より「渡具知泊城」
今から600年前三山戦国時代中今帰仁城主按司は臣下本部大主の謀反にあって城奪れる。一時世替りの騒動の中にあったが、按司の嗣子千代松金は名お丘春と改め読谷山間切北谷間切砂辺村へ落ち延び、読谷山大木徳武佐で難を遁る。丘春仇討の幾会を待ち18年後に旧臣を集め本部大主お討って本懐おとげ城奪返す。然るに次の代後北山の怕尼芝に攻められ中北山は遂に亡んだのである。
時の若按司は本部具志堅で死す。隠居の身仲宗根按司丘春は戦に追れ住なれた読谷山間切に逆戻り当地にて城奪返しの態勢を整たが力及ず遂に当地にて終身す。
按司丘春そして臣下の骨玉は東の方鷹の目洞窟に葬れる以後此の一帯を渡具知泊城と称す
1979年12月22日

この奇岩を右手に見ながら海の方へと進むと、小さな砂浜があり、少しだけですが遊具が設置されています。

周りが砂浜なのに普通の複合遊具が置かれているので、少々面食らいます。こんなに海沿いだとあっという間に錆びてしまうように思うので、部材をステンレス製に変更するなどの改良が行なわれているかも知れません。

こちらはコンクリート製のガケ滑り台&ガケ登り。ガケそのものがコンクリート擬岩なので、全体としてひとつの遊具です。

天然のガケは周りにいくらでもあるのですが、大人でも落ちたら大怪我ではすまないような急斜面で、さすがに遊ぶには危ないので柵や植栽で囲まれて入れなくなっています。

ガケ滑り台の横手から岩場の上の方へと向かうと、メーヌハンタと呼ばれる平場に出ます。小綺麗に植栽されたマツ林の中を園路が通り、ところどころに休憩所やベンチが置かれているような仕立てです。

メーヌハンタでも突先になったところに、沖縄戦時の米軍上陸地点であることを記した記念碑「勿為沖縄戦場」が設置されていました。
以前にNo.2820 砂辺馬場公園でも米軍上陸地点の碑がありましたが、現在の読谷村から嘉手納町、北谷町にかけての15kmほどの海岸線一帯に「1,500隻近い艦船と延べ約54万人の兵員をもって沖縄本島に上陸した」したそうなので(内閣府資料)、どこも間違いではありません

碑のあたりから、比謝川の上流方向を眺めたところ。写真左手のガケあたりが渡具知東原(トグチアガリバル)遺跡で、7000年くらい前の土器が出土しています。
話はちょっと戻りますが、海に面した海岸そのものというより、この河口から感潮域にかけてのダラーっとした緩い流れのところが、かつての港・船溜まりなのだろうと思います。

なので、メーヌハンタに祀られている梵字碑は、航海安全を願うためのものではないかと考えられているそうです。

メーヌハンタから、初めに見た遊具の方へと戻ります。
崖地や史跡地を避けた砂浜に面したところはおきなわポークビレッジというレストラン、ベーベキュー場、パーラーなどのあるビーチ施設になっています。

訪れたのは秋の終わりの雨が降る日だったので、冴えない写真でビーチ施設の皆さんに申し訳なく思います。

晴れていれば、大小のブタさんたちが楽しげにポークを食べる様子が見られたかも知れません。

ここから岬の方を眺めると、大きな休憩所が見えたので行ってみました。

けっこう大きいし、ベンチとテーブルも揃っています。ポークビレッジにも休憩所はあるのですが、ひと気が少ない方が好みなら、こちらもありですね。

柱や屋根の擬木も、マツ材っぽく木目や節まで凝ったもので、かなり見応えがあります。

海から遺跡からポーク、擬木まで、雨が降っていてもたっぷり楽しめた泊城公園でした。

(2021年11月訪問)

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