2820/1000 砂辺馬場公園(沖縄県北谷町)

2021/09/10

沖縄県 海辺の公園 展望台 北谷町

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沖縄県北谷町の砂辺地区は、もともとは東シナ海に面した自然豊かな集落だったようですが、沖縄戦時には北の読谷村からこの付近一帯が米軍の上陸地点となったという歴史を持ちます。

現在は、国道沿いの利便のよい立地にも関わらず、嘉手納飛行場の滑走路の延長真下にあたり騒音が激しいため、「防衛施設周辺の生活環境整備等に関する法律」に基づいて日本政府が住宅を買い上げて空地にしており、地区の至るところに遊休地が点在しています。

また海岸沿いの一部には「無願埋立地」「ゼロ番地」などと呼ばれる、本土復帰以前に無許可で埋め立てられた所有者不明の土地が長く存在していたり(後に裁判で国有地とされる)、米軍人・軍属向けの賃貸住宅が大量に集中していたりと、まちづくりの面からはいささかの混乱が見られる地区だと言えます。

しかし、その混乱が一種のアジール的な開放感にもつながっており、サーファーが集まってきたり、ポツポツと気の利いた飲食店ができたりもする不思議なエリアになっています。

そんな砂辺地区にある砂辺馬場公園。公園名の由来は馬場なのでしょうが、園名板は海一色です。

園内に入ってすぐのあたりは、沖縄の海岸特有の岩礁が陸地化したものがあってデコボコしており、いくつかの凸部には登れるようになっています。

登った先に何もないと寂しいのですが、ちゃんと目標物があります。
こちらは、第二次世界大戦 米軍上陸地モニュメント。

■碑文より
1945年4月1日に米軍は、海面を覆い尽くす戦艦、駆逐艦、砲艦計219隻から山の原形を破壊する程に熾烈な艦砲射撃後、北谷西海岸から上陸した。
日本で唯一の悲惨な地上戦は、一般住民をも巻き込み沖縄県全土で20万余の尊い人命を奪い去った。
私たちは、沖縄戦の体験と実相から、戦争の不条理と残酷さを正しく次代に伝え 平和の理念として戦争につながる一切の行為を否定する そして、平和憲法の人間尊重の精神に立脚した未来永劫の平和な北谷町の建築を図るため、沖縄戦の風化を許さない歴史的礎として、米軍上陸地碑をここに建造する。
1991年4月1日 北谷町長 島雅夫

こちらは「砂辺の浜之歌碑」
当地出身の沖縄民謡の歌い手であり、作詞作曲も多く手掛けた喜屋武繁雄の歌碑です。

中には、けっこう大きな広場状になっている凸部もあります。

いちばん目立っているのは、海と園内との両方を見渡せる凸部で、ここには四阿が建てられています。

さらに自然の凸部だけでは飽き足らず、木製の展望塔も建てられています。

展望塔から園内を眺めたところ。向こうに見えている大型遊具やスケボー広場は、後ほど登場します。

反対に海を眺めたところ。公園の目の前が小さな入り江になっており、とくに海水浴場としての整備はされていないのですが、海に入って遊んでいる人がいました。

そのまま一度公園を出て、海沿いの堤防上を歩きます。
この付近の堤防上は、南の浜川漁港のあたりまで2kmくらい続く遊歩道になっているのですが、それの北の起点がこのあたりということになります。
全部を通して歩いたことはないのですが、たぶんずっと点字ブロックが続いているのだろうと思います。遊歩道で、こんなに点字ブロックが続くことは珍しいように思います。

ちなみに遊歩道から見えている荒れ地が、かつての無願埋立地です。
裁判で国有地と認められた後も、平成の中頃まではそれ以前からの産廃やスクラップ車両の置場としての利用が続いていたのですが、かなり撤去が進んだようです。

公園のすぐ横は入り江の砂浜でしたが、100メートルほど離れたところまでくるとリーフエッジ、すなわちサンゴ礁のうち浅場の部分(礁縁)の端っこに当たります。逆に言えば、浅場を埋め立てて、陸地がリーフエッジまで伸び出してきているわけです。

リーフエッジでは波が立つので、お手軽にサーフィンが楽しめます。
ポイントとしての良し悪しは知りませんが、とりあえず家の横の防波堤を超えたらもうポイントなので、好きな人にはたまらないのではないでしょうか。

さて、戻って再び園内。公園としての人気のポイントは、やはり大型遊具でしょう。
イルカやカメなどの海の生き物が舞い踊る下に、各種滑り台、パイプトンネルなどが組み合わさったものです。

いちばん高い滑り台の、やや急勾配からグニャッとするあたりのラインが良いですね。

少し高いところにあるために写真では映えないのですが、奥の方でモモイロサンゴが手を振って、僕の滑りを眺めています。

そして、そこに向かって伸びるターザン遊具と、

誰でも乗れるネット式のブランコが並んでいるあたりが、小さな子どもたち向けの遊び場です。

もう少し大きくなった子どもたちには、スケートパークと、バスケットコートもあります。
どちらも市街地にあると騒音などの問題が生じやすいものですが、基地の騒音問題を抱えて周りに住宅が少ないこの公園ならではの導入施設です。

スケートパークの良し悪しというのはよくわからないのですが、広い割にはセクションが少なめで、わりと初心者向けのものなのだろうと思います。夏はサーフィン、冬はスケボーと使い分けもできるのかも知れません。

バスケットコートは、この日は閉まっていて中に入れなかったためにうまく写真が写せていないのですが、ふつうに正対する2つのゴールのほかに、コートの横(下写真の右側)に、リングが4つくらい付いた不思議なゴールが設置されています。
シュート練習専用のものかと思いますが、さすがはバスケが盛んな沖縄だと感心しました。

あと、今まで見てきたブロックから道を挟んだところには、両翼70~80メートルくらいの野球場があります。本体部分と比べるとやや古びており、再整備の手が入っていないように見受けられました。

決して大きくはないのですが、沖縄らしい空気感の漂う砂辺馬場公園でした。

(2021年6月訪問)

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