久手堅憲夫『首里の地名-その由来と縁起』によれば、“サクヌカーとは、狭処=迫にある湧泉のこと”とされており、確かに小さな谷に向かって流れ落ちています。
少し離れてみるとこんな感じ。大きな木々が周りから覆いかぶさるようになった様子には荘厳さがあり、往時の首里の都を偲ばせるものがあります。
もっとも、実際の首里の都がどんな風だったのかなんてよく知りませんが。
その井戸から、細い道を挟んで下流側が、さくのかわ公園になっています。
さくの川から流れ落ちる細い流れに沿って何段かの小段が作られており、そこを貫くように園路が通っています。
一番上の小段にだけ砂場がありますが、公園全体や周囲の雰囲気からすると、ちょっと浮いている感じです。
一段ごとに水の落とし方に工夫があって、変化が楽しめます。
最下段から全体を見上げると、こんな感じ。
西~北向きの斜面地なので、園地としては湿っぽいところもあるのですが、もともとが水場ですから仕方がありません。
ぶらぶらと城下町を歩いていて見つけた、さくのかわ公園でした。
■現地の解説板より「さくの川(カー)」
市指定史跡 指定1990(平成2)年4月12日さくの川は、急な崖の下から湧き出る地下水を、幅約30cm、長さ約80cmに加工した琉球石灰岩を10個ばかりつないで樋とし、導き出した共同井戸です。
水路の中は、内部が崩れないように石垣を設けてあります。水汲みの広場は、周囲より約1mほど掘り下げ、樋口から外に向かって扇形につくられています。周囲の地形との調和が図られており、意匠的にも特徴があります。
ここからあふれ出た水は、北西に流れをつくり、その谷間の南斜面には王家御用の芭蕉園がありました。その芭蕉を用いて、紙すきが行なわれ、この辺りは「紙すき山川」と呼ばれました。かつてここの水は村人の飲料水や生活用水としてだけではなく、紙すきという産業にも用いられていました。
那覇市教育委員会
(2019年2月訪問)
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