479/1000 御崎公園(神戸市兵庫区)

2013年10月3日

スポーツ向けの公園 神戸市兵庫区 身近な公園 鉄道遺産 兵庫県

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神戸市兵庫区を走るJR和田岬線の線路沿いに、神戸百年記念病院があります。
こちらの病院は、2007年(平成19年)に現在の名称になる以前は鐘紡記念病院といいました。その名からわかるように、もともとは鐘淵紡績の兵庫工場に付属する病院としてスタートしたものです。
現在の病院の横手には「鐘紡前駅」があり、そこから工場内に引き込み線も通っていたようです。

この工場が空襲で焼かれた跡地を神戸市が買い取り、1949年(昭和24年)から1960年(昭和35年)まで神戸競輪場が設置されていました。もともと競輪は、戦災復興のための自治体の資金稼ぎのためにスタートした側面があり、自転車競技法の成立を受けて1949~50年頃に全国各地で競輪場が開設されたのです。
ところが、一般市民やマスコミなどからは風紀の乱れ、ファンの借金苦、八百長レース疑惑、暴力団の関与などが取りざたされるようになり、1960年頃には閉鎖が相次ぎます。一種の「競輪場バブル」が弾けた状態だったのだろうと思います。
と言うことで神戸競輪場も廃止され、1962年(昭和37年)に「御崎交通公園」が開設されます。

交通公園は、No.39の今井児童交通遊園(江戸川区)で紹介したように、1950年代後半の「交通戦争」の時代背景を受けて全国で整備が進んだもので、「児童の健全な遊戯の用に供し、あわせて児童に交通知識及び交通道徳を体得させることを目的として設置する」ものです。
それ以前に必要とされた競輪場から、その時代に必要とされた交通公園へと、的確に時代の流れを読んだ転進であったと言えます。

その御崎交通公園の姿は、金子淳(2008)『交通戦争の残映 交通公園の誕生と普及をめぐって』(静岡大学生涯学習教育研究. 10, p. 21-39)によれば、「電車軌道、立体交差、跨線橋、トンネルなどがしつらえられた全長1,200mのコースに、踏切、信号機、警報機、横断歩道、標識などを備え、ゴーカートを1周(200m)10円で貸し出した。この交通公園の特徴は、何といっても本物の自動車練習場を兼ねていたことであり、自動車を20分以内300円で貸し出している(自動車持ち込みのコース貸しは同100円)。開園直後の1962年12月の集計では、自動車貸し出しが1,558件で467,400円の収入、コース貸しが433件で43,300円、ゴーカート貸し出しが8,641件で86,410円となっており、自動車練習場としての収入が全体の実に83%を占めていた。これは、自動車の練習場によって得られた収益を本来の交通公園の運営に充当するという当初のねらいでもあったという。」とされており、施設だけでなく管理運営面でも先進的な施設であったことがうかがわれます。
ただし、上の論文に収められた図を見る限り、交通公園は競輪場本体跡地の隣に整備されており、関連施設用地(駐車場等?)の跡地に設けられたものだったようです。

しかし1970年春に、競輪場本体の跡地にナイター照明を持ち国際試合にも使える中央球技場が整備され、神戸のサッカーのメッカとなりました。さらに2002年のW杯サッカーの会場としてスタジアムも公園も大改造を受けて、現在の姿の御崎公園に生まれ変わりました。
交通公園がいつまで機能していたのかはよく分かりませんが、自分の記憶では1985年の神戸ユニバーシアードの頃には道路や信号など交通公園としての形状は残っており、1995年の阪神・淡路大震災の時には無くなっていたように思います。

と言うことで、御崎公園の歴史をザッと振り返りましたが、現在の御崎公園は、Jリーグ・神戸の本拠地であるスタジアムを中心に、ほぼサッカーに特化した公園となっています。
こちらがスタジアム。ネーミングライツで時々名前が変わるのですが、地元では元の名称のウィングスタジアムでだいたい通じます。訪れた時は、この年J2に落ちていたお隣同士、ヴィッセル神戸とガンバ大阪の試合がおこなわれた日だったので、非常に賑わっていました。
御崎公園(神戸市兵庫区)
御崎公園(神戸市兵庫区)

普段はジョギングの人が走っているであろうスタジアム周囲の園路も、この日ばかりは入場を待つ人たちの大行列に占拠されています。
御崎公園(神戸市兵庫区)

フットサルコートもあります。
Jリーグの試合が始まるのを待つ間にフットサルって、「どれだけサッカー好きやねん!」という感じもしますが、試合が始まるまでの高揚感の中で体を動かすのが、結構楽しいというのはわかります。
御崎公園(神戸市兵庫区)

スタジアムを拡張整備する際に、それ以前にあった芝生の少年サッカー場は廃止になったようなのですが、代わりにかつて交通公園があったところも含めてスタジアムの東側は広大な芝生広場になっています。
サッカー専用の設備ではありませんが、少年サッカーであれば5~6面が同時に取れるくらいの広さがあります。
御崎公園(神戸市兵庫区)
御崎公園(神戸市兵庫区)

とは言え、子供たちもサッカーばかりしているわけではありませんので、遊具広場も2ヵ所にあります。
ヴィッセルのユニフォームの子もガンバのユニフォームの子も仲良く遊んでいました。
御崎公園(神戸市兵庫区)
御崎公園(神戸市兵庫区)

公園の外周部には、集会園路や足つぼ刺激歩道などの健康遊具があります。
こちらのビリヤード球やゴルフボールを埋め込んだコースは初めて見ました。ちょっとひねりの効いた面白いアイディアだと思います。
御崎公園(神戸市兵庫区)
御崎公園(神戸市兵庫区)

しかし、上で「ほぼサッカーに特化した公園」と書きましたが、交通の要素も少しだけ残っています(交通公園の要素ではありませんが)。

こちらが1971年に廃止された神戸市電の車両。その後は広島電鉄で運行していたそうですが、2003年に現役を引退して神戸に里帰りしてきました。
公園の南側にある市バス車庫(郵便局の裏側)が、かつては市電車庫だったそうなので、まぁまぁ公園ゆかりの物件とも言えます。
御崎公園(神戸市兵庫区)

また、じつは上で紹介した大きな芝生広場の地下には、神戸市営地下鉄の地下車両基地があります(地下なので写真には撮れませんが)。地下鉄海岸線は三宮花時計前から新長田まで、一度も地上に出ることがないため、路線の中間あたりにある御崎公園の地下に秘密基地があるようです。
う~む、それはいつか行ってみたい。

神戸市による秘密の地下車庫の紹介
地下車庫について詳しいブログ

(2013年5月訪問)

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