兵庫県の東播磨地域は、全国有数の溜池密集地で、兵庫県の資料によればかつては1,000ヵ所、現在でも600ヵ所くらいがあるそうです。
ここ石ヶ池公園も、そんな溜池のひとつの畔につくられた公園です。
溜池の数が減っているのは、地域の都市化が進むとともに農業用水としての役割を終えて、埋め立てられて他の用途に転用されるものが増えているからです。
とくに学校、役所などの公共施設の建設目的で埋められることが多く、この石ヶ池も1961年(下左)には水面が7haくらいあったものが、埋め立てによって西は小学校、東は住宅地に変わり、現在(下右)の水面は1haくらいになっています。
左:国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より/整理番号:KK615YZ/ コース番号:C1/写真番号:7/撮影年月日:1961/05/30(昭36) 右:Google Earth |
池を埋め立てて作ったのに「石ヶ池公園」では、なんだか池に申し訳ないような気分になりますが、うまい具合に、公園は池北の1961年(昭和36年)の時点でも陸地だった部分にあります。
西端のオシャレな自転車置き場がある出入口から入っていくと、
まず大きな芝生広場に出ます。
左端にある建物には事務所、会議室、トイレ、授乳室などがあるのですが、日にちを決めて町内のお店が交代でカフェを出店するような使われ方もしており、なかなか良い雰囲気です。
ただまぁ、元々が飲食を強く意識した建物ではないので、カフェが2階なのが残念なところ。眺めは良いのでしょうが、芝生広場との結びつきがうまく出てきません。
やっぱり1階に大きな窓の部屋があって、テラス席なども付いている方が、もっと使い勝手が良くなったことでしょう。
芝生広場を過ぎると、噴水のある広場。渦巻きの頂上から水が湧き出て、グルグルと流れていく構造です。
渦巻きから出た後は、もう少し深めの水路を通って流れていきます。ここも、親がそばで見ていれば、水遊びに使えるくらいのサイズです。
噴水の横には階段デッキがあって、石ヶ池の上に伸びた木デッキの水上遊歩道に通じています。
陸地に近いところは、トンボの羽化などが観察できそうな浅瀬の湿性植物園になっています。
で、そこから延々と200メートル近くに渡って、池の向こうの一般道に出るところまで、水上遊歩道が続いています。
全部が溜池の中に橋脚を立てる橋構造になっていますし、床も手すりも木製パーツがふんだんに使われているので、管理はかなり大変だろうと気づかってしまいます。
それともう一つ、噴水の近くには、2002年(平成14年)播磨町の町制40周年を記念して、友好都市・姉妹都市の間柄にある中国天津市の和平区、アメリカ合衆国オハイオ州のライマ市から送られた記念樹が並んで植えられています。
和平区長記念植樹「トネリコ」。3本の記念樹の中では、一番よく育っています。
ライマ市長記念植樹「アメリカハナズオウ」。株立ちさせて細い枝で樹形を整えるような種類の樹木なので、少し線が細いように見えてしまいます。
そして、播磨町長記念植樹「松」。さすが地元だけあって、どっしりと落ち着いています。
そしてさらに東に進むと、園内の東端が遊具広場。
播磨町と言えば別府鉄道といわんばかりに、機関車の幼児向け複合遊具が目立っています。
欲を言えば、機関車が引っ張っている部分、つまり滑り台の周りを、もう少し客車っぽく仕上げて欲しかったように思います。
ちなみに、ここは山陽・播磨町駅と別府駅のちょうど中間くらいで、どちらとも1kmくらい離れているので、実際に公園の側に1つ駅があっても良いくらいの場所です。
そしてその後ろに、人工の盛土山が作られており、ガケ滑り台、ガケ登り、吊り橋やネット遊具等と組み合わせた土木的遊具になっています。
盛土山の上から池の方を眺めると、こんな感じ。
山の向こうには、地上を山陽電車、高架を新幹線が通っているので、揺れる遊具もそれっぽいものが採用されています。
できれば別府鉄道(蒸気機関車)、山陽電車(四角い電車)、新幹線(流線型)と3つ揃えて欲しかったところですが、電車型は入手できなかった模様です。
池・山・芝生広場と環境が多様で、電車好きや水遊びにも対応、さらに小学校や幼稚園も隣りにあって、ずいぶん楽しげな石ヶ池公園でした。
(2023年9月訪問)
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