3551/1000 Aさんの庭(東京都杉並区)

2024/02/11

身近な公園 杉並区 庭園 東京都

t f B! P L

杉並区の阿佐ヶ谷や高円寺あたりは、関東大震災の後、昭和初期くらいに移り住む人が増えて都市化が進んだエリアなのですが、今もところどころにその頃の暮らしぶりを伝えるような質の良い住宅が残っています。
かつて、ここ「Aさんの庭」もその一つで、宮崎駿さんが著書で「トトロが喜んで住みそう」と紹介するほど、ご近所に知られた美しい家だったそうです。そのため、ここが取り壊されそうになった時に、各方面から反対の声が集まり、区が取得して公園として保存することが決まりました。

が、その直後に不審火で住宅は全焼。関係者の皆さんが悲嘆に暮れていた時に、宮崎駿さんから公園のデザインスケッチが寄せられ、それを元に整備されたのが、現在の公園です。

ということで、制度としては都市公園ですが、実態としてはみんなのお庭。かつてここにあった住宅の佇まいや風景を、現代的に受け継いでいる場所ということになります。

敷地の中央に置かれているのは、防災倉庫とトイレ、休憩所を兼ねた建物。赤いテラコッタ瓦、濃い焦茶色の外壁、白い柱と窓枠は、かつての住宅の外観を模したものだと思われます。

この建物の裏側が、お庭になっています。

よく古いお屋敷や農家住宅が保存されて公園になっていますが、それとはまったく異なり、ちょっと年季が入った近所のお家に遊びに来たような質感の緑空間です。

火災後も残された住宅の土台を残して土を入れてあるので、かつての間取りを想像することができます。ここは玄関でしょうか。

■現地の解説板より「”ばらの家”から”Aさんの庭”」へ

かつてこの地には、昭和初期の杉並の文化・生活を今に伝える歴史的な住宅とみどり豊かな庭がありました。
1924(大正13)年、東京市震災復興局で都市計画に携わっていた近藤謙三郎氏の設計により住宅は建てられました。外観は赤い素焼きの屋根瓦の洋風住宅でしたが、内部には和室も残し、当時の住宅の移り変わりを知る上でも貴重なものでした。バラの垣根越しに見える庭一面に美しいバラが植えられていたことから、道行く人からは「ばらの家」と呼ばれていました。近藤氏の姪英氏が受け継いだ後も、アニメ「となりのトトロ」に登場するトトロが喜んで住みそうな家として、宮崎駿監督著「トトロの住む家」で紹介されるなど、地域のみなさんにも親しまれ、住宅取り壊しの危機には6,300余の住宅保存の署名が集まりました。区はこの地を買い上げ、公園として整備するために、地域のみなさんとともに公園計画の検討を進めました。
しかし、平成21年2月、火災により住宅は焼失してしまいました。新たな公園計画を余儀なくされていた時、この地をよく知る宮崎監督から区へ公園デザインの提案の申し出がありました。提案は、かつての住宅の雰囲気を風景として継承するこを目的に、利用者のための便所と地域のための防災倉庫を兼ねた建物で住宅の雰囲気を再現し、既存のみどりを活かしたものでした。その後、多くの方々のご協力を得ながら、設計・整備を進め開園へと到ることができました。
公園の名称「Aさんの庭」は宮崎監督の提案を受け、地域のみなさんで決めました。「Aさんの庭」がみなさんの庭として、そして、次世代に向けた貴重な財産となるようにみなさんとともに、大切に育んでいきたいと思います。
平成22年7月 杉並区

土で埋めずに、外壁の一部をかなりはっきりと残している部分もあります。
でもここで、「この残っている基礎部分が建物で、その周りがお庭だったのなら、それほど広いお家ではなかったのでは?」ということに気づきます。

で、もう少し歩いてみると住宅の間取図が展示されていて、ここでリビング、ダイニング、和室2間で73平米、現代風に言えば2LDKの平屋だった事がわかります。

間取り図に照らせばここは建物の外で、奥に見えている屋根が反対側の外の井戸小屋なので、だいたいの建物のスケール感が掴めます。

そこでさらに「あれ、じゃぁさっきのトイレ建物や、その前面のコブシが植えられていた園地は、別の家だったということか?」と気づきます。
こっちだけでもう1軒分くらいの広さがありますから、全部合わせて一つのお家だとすると、周りの街区の他の家々と比べても大きすぎるのです。

もう少しグルグルと歩いてみると、上写真のメインエントランスとは別に、お庭、すなわち元の旧・近藤邸の建物に近い出入口があることに気づきます。
ここで「これが元々の玄関で、上写真は隣の家の玄関だったのだな」という結論に至ります。

ですので、元々の住宅跡と、既存樹木を含めたお庭は全体の原形として残しつつ、公園として必要な機能のための用地として、隣地もあわせて公有化したということなのでしょう。
でも大外れの推察だったら恥ずかしいので、もっと詳しい資料を探して、いつか自信を持って追記したいと思います。

小さなお庭でも気づきの多い公園・Aさんの庭でした。

(2023年10月訪問)

ブログ内検索 Search

アーカイブ Archive

地図 Map

問い合わせ Contact

名前

メール *

メッセージ *

Facebook Page

QooQ