美術の森緑地は、練馬区立美術館の建物前に設けられた緑地であり、もっぱら野外アートの展示スペースとして使われています。
以前はいかにも昭和の公共施設の前庭っぽいというか、一面の石張りの広場の中にチョロっとした噴水があり、昔ながらのブロンズ像が飾られているような空間だったのですが、2015年(平成27年)に全面リニューアルされて、現在のように緑と現代アートが融合した姿になりました。
場所は西武・中村橋駅を降りてすぐ。駅北を高架に沿って西に歩くと、練馬大根の馬の親子が出迎えてくれます。
その名もネリマーマ。お母さん馬がネリマママというわけでもなく、親子ともども練馬ー馬なのでしょうか。
練馬なので「馬」、練馬なので「大根」、足は当然「大根足」という連想ゲームが行き過ぎていて、いきなり先制パンチを食らったようになります。
しかし、そんなシンボル的な作品の足元には、そのまま畑の横にあってもよさそうな散水栓が。このあたりのセンスは、公園らしいユルさだとも言えます。
この公園全体が「幻想美術動物園-美術の森に、不思議な動物たちが住みついた」というコンセプトで統一されており、20種類・32体の動物が集まっているようです。
全部は紹介しても仕方がないので、気に入ったものをいくつか。
まずは美術館の正面にいるトピアリーというか立体植栽のクマ。ネリマーマと並んで門番的な役割ですが、手に持っている看板のデザインが今ひとつ物足りない感じもします。
足元に子供が入ることができるくらいの大きさのキリン。
上に座れるトカゲは全身が鮮やかに彩色されています。
FRP製の作品は、白トラやカエルなど。やや狭くるしい場所に押し込まれていて、眺めるには良いですが遊ぶには窮屈です。
また、足元にラバーマットを敷いてあるものと土のままのものとがあり、使い分けがどうなっているのか知りたいところです。
なんだか憂いを抱えた表情のライオン、奥には聖なる白いゾウ。
ほかの動物と比べると、ややリアルタイプのゴリラ。ブロンズ製で質感が出ています。
樹の上にはヘビ。ほかにサルの住んでいる樹もありました。
美術館のマスコットらしきネリビーは、色違いのものが何体か園内各地に隠れています。
少し毛色が違う作品といえば、昭和前期から中期にかけて活躍した彫刻家・古賀忠雄の「森の幻想」。他の作品の多くが地上にあって、近くで見たり触ったりして楽しむことができるのに対して、巨大な塔の上から周りを見下ろしています。
そう言えば、古賀忠雄のアトリエは練馬区にあったことをNo.649 西郷公園で学びました。
おそらく、この作品は改修前からのもので、これの作品名が現在の「幻想美術動物園」の着想に繋がったのではないかと想像します。
であれば、この公園の神みたいなものですから、森全体を見下ろす高みにあることにも納得します。
■現地の碑文より
この像は故古賀忠雄氏の昭和49年の作品で、平和で健康な家族を象徴したものである。昭和55年10月古賀晟殿より原型(石膏)の寄贈を受け、区でこれをブロンズ像にし、ここに建立した。
昭和55年1月 練馬区町 田端健介
「動物感覚をとぎすます道」と名付けられた道は、園内の傾斜を利用しつつ、道自体も上下左右にデコボコ、ガタガタしており、さらに木、石、コンクリート、タイルなど素材も多様に散りばめられており、アート作品と言えばそうですし、遊具でもあるという物件です。
普段から公園のことばかり考えている本ブログとしては、「子供の遊びのことを色々考えてるな~」と気になるタイプのものです。
人の利用が多すぎて、芝生を休ませる暇がなさそうなことが気がかりですが、これからも緑の中で憩い遊べる空間であり続けて欲しい美術の森緑地でした。
(2018年2月訪問)
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