佐良浜港は、沖縄県伊良部島の東岸にある小さな港です。
フェリー港と漁港が一緒になったような形をしていますが、伊良部島と宮古島との間には2015年(平成27年)に全長3,540メートルの伊良部大橋が架かったため、定期航路は廃止されてフェリー港部分は休業中です。
この港の周りに、小さな公園が整備されています。
まず港の北側にある公園。
園内に「佐良浜漁港修築記念碑」が建てられているので、この事業の中で整備されたものではないかと思います。
記念碑の上に載っかっているのはカツオ。佐良浜は近海カツオ漁の拠点として知られる場所です。
園内は、休憩所が中心です。暑い沖縄では、人が集まる場所には屋根があることが大切な条件になるので、コンクリート製のしっかりした休憩所がいくつも建てられています。
濡れた服でも平気なタイル張りのベンチ、色ガラスの天窓など、内部のつくりが結構凝ったものになっています。
続いて港の南側にある公園。こちらの方が広場が大きく、北側よりも公園っぽい姿をしています。
こちらにも大きな休憩所があります。
その横には土俵。漁師さんたちが相撲を取るのでしょうか。
この休憩所の横に、「佐良浜かつお漁100年記念碑」がありました。
小さな船を台座に、カツオの彫られた石碑が載っかっています。
碑文より「佐良浜かつお漁100年記念碑」
佐良浜において、明治42年(1909年)に御幸丸外一隻の漁船(テンマ船)によって一本釣りかつお漁業が操業し、2年後の明治44年(1911年)には3隻が増え海徳丸、御幸丸、杉本丸、有明丸、上等丸の5隻で本格的に操業した。
先人たちに敬意を表すとともに、その偉業を讃え先達の伝統と誇りと、かつおへの感謝と海への畏敬を込め記念碑を建立する。
平成21年7月12日建立 佐良浜かつお漁100年祭実行委員会
休憩所から左手に回り込むと、坂道沿いの傾斜地も公園になっていて、上の方に石碑が見えました。
少し遠いのですが、手前にはブランコもあるので、すっかり草に埋もれた飛び石道を上ってみます。
坂の途中の樹の下に、黄色いブランコがありました。この公園では、唯一ハッキリとした遊具です。
ブランコから海の方を見るとこんな感じ。ブランコに揺られながら、お父さんの乗った船が帰るのを待つといった物語のようなことができます。
その丘の上にあるのが「独逸商船遭難救助 佐良浜漁師顕彰碑」。
明治のはじめに宮古島南部の宮国沖合で遭難したドイツ船の救助にあたった佐良浜の漁師たちを顕彰するものです。
事件の経過は宮古島キッズネットのサイトに詳しく整理されています。
横手には、当時発行された感謝状の文面を刻んだ添碑が建てられています。
碑文より「感謝状」
右は明治6年7月、宮國穴川沖合に於て独逸船ロベルトソン號難破座礁せるに際し宮古島政廳蔵元の命に依り急遽宮國海岸に至り、風波荒れ狂ふ中を傳馬船二隻を以て遭難者と荷物を下し又歸國に際しては水先案内者として池間島沖合迄見送りたり。
独逸皇帝感謝記念碑建立六十周年記念式を擧行せらるるに當り感謝の意を表す。
昭和11年11月14日 沖縄縣宮古郡教育部會長 明知延佳漁師名
佐久本宗太郎、濱川孫太郎、仲間善足、嵩原松、伊佐亀太郎、川満福吉、仲間善、仲間梅吉
橋が架かったことで、沖縄の離島ならではのゆったりとした雰囲気は変わりつつありますが、その分訪れやすくなったので、またのんびりと訪ねたみたい佐良浜港でした。
(2017年7月訪問)
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