日本の都市公園は約10万ヵ所。その1/100なら行けるだろうと思って始めた覚え書きですが、1000ヵ所を超えても続いています。揺れる動物も集めています。

2014年10月11日

809/1000 仁川百合野町地すべり資料館の緑地(兵庫県西宮市)

2 件のコメント :
兵庫県西宮市の山手に位置する仁川百合野地区では、阪神・淡路大震災時に発生した地すべりによって13戸の家屋が飲み込まれ、34名の方が亡くなりました。この震災時の土砂災害としては、もっとも多くの犠牲者を出したものです。
原因として、地すべり地の上部にある上ヶ原浄水場の建設時に出た土砂の処理、その後の水処理が拙かったのではないかという指摘もされ、山麓造成地の地すべり危険性が話題となりました。
国土交通省資料より引用
http://www.mlit.go.jp/common/001024314.pdf

その地すべり地の復旧対策とあわせて整備されたのが地すべり資料館で、被害状況や土砂災害の仕組み、復旧対策の事業内容などが学べるようになっています。
その資料館の周りが緑地になっているのですが、この緑地自体が復旧対策事業の成果として生まれたもので、近隣住民にとっては慰霊の場、そして憩いの場、見学者にとっては学習の場となっています。
というわけで、呼び名がないので「資料館周辺の緑地」と呼びましたが、本当のところ緑地が主で資料館は従ということになります。

こちらが資料館内にある復旧工事の全体模型。
山の上から下まで、そして一番下の仁川の中まで、すべて対策工で埋め尽くされています。

対策工の基本は、斜面を段切りにして一気に滑らないようにした上で、傾斜が急なところは水を適当に逃がす隙間を持った井桁擁壁で固め、傾斜が緩いところは植物を育てることもできるのり枠工で固め、さらに地下には水を上手に集めて排水する集水管・配水管をたくさん通す、ということになります。

詳しくは資料館のサイトで図面を見てください。

ということで、段切りでできた平場は広場になっています。

傾斜が急なところは、無骨と言えば無骨ですが、工法の解説板を立てて見学施設の一部としています。

傾斜が緩いところは、樹木を植えているところと、シバザクラを植えているところがあります。


季節になれば一面のシバザクラが咲き誇るのですが、その時期の写真は詳しいサイトでご覧下さい。
地域情報サイト「西宮流」より引用して表示
http://nishinomiya-style.jp/

地下水を逃がす水路はホタルの住む小川になっています。
ちなみにこの水路は、本来は西宮市の文化財にも指定されてる「上ヶ原用水」の一部で、仁川上流の大井滝から取水して、下流の上ヶ原の台地へと流れているものです。大井滝の岩盤を掘削する大工事は34年にもおよび、開通したのは1802年のことだそうです。

でもって、一番下にあたる仁川沿い。一見するとただの渓流のように見えますが、両岸の岩場は擬岩コンクリートブロックでつくられた人工のものです。
最初の方に載せた模型の写真でも、きっちり同じ場所に階段がつくられています。

そして慰霊碑。
震災からもう20年が経つのですが、お花や手彫りの仏像なども供えられ、地域の方々に大事されている様子が伝わってきました。

●神戸新聞関連記事 「埋もれた記憶 西宮・仁川の地滑り」(全15回)
●兵庫県HP 仁川百合野町地すべり資料館

(2014年9月訪問)

2 件のコメント :

  1. 堀井 滋2017/05/19 11:32

    「地下水を逃がす水路」と書かれていますが、仁川上流の水を1802年に、大井の滝の上の大きな花崗岩の岩を尽力でくり抜いて設けられた水路から流れているものです。

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  2. 堀井滋さま
    ブログ作者です。コメントありがとうございます。
    コメントは、仁川から分水している上ヶ原用水の存在についてのご指摘かと読み取りました。記事中で紹介している水路は、確かにその用水の一部です。

    記事中では復旧事業の構造概略・見どころについてまとめていますが、地すべり地の復旧事業の図面(地すべり資料館のサイトで閲覧可能)を見ると、地すべり跡地に降った雨を地下に集めて安全に流すための施設が、一部この用水に通じて排水しているようであり、またその護岸が「ホタル護岸」という名称でつくられていますので、「地下水を逃がす水路はホタルの住む小川になっています」として簡潔に紹介しています。

    ただ、地すべり跡地の地下水だけに頼った水路であるかのようにも読み取れたこと、地域の文化財であり復旧工事に際しても配慮されたであろう上ヶ原用水に触れないのはもったいないことから、少し文章を改めました。

    今後とも、拙ブログをよろしくお願いいたします。

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