No.3002で車両が登場した阪神電鉄の武庫川線ですが、元々は戦時中に、現在の武庫川団地付近にあった工場への連絡のために作られたもので、当時は現在のJR西宮駅まで線路が繋がっていました。
貨物輸送専用だった阪神武庫川駅~JR西宮駅間は1958年(昭和33年)に廃止されたのですが、その名残の給水塔の周りが甲子園口SL公園として整備されています。
本来は鉄骨製のフレームの上に水タンクを載せて、その横に地上絵のように蒸気機関車を停めて、蒸気機関用の水を補給するための施設です。水タンクは取り払われていますが、細ワイヤーでなんとなく形がイメージできるような復元がされています。
解説板の写真と見比べると土台部分がいくぶん高くなっているので、これは公園化する際に子供が登らないように改造されたのでしょう。
解説のための陶板が設置されていますが、日本語がグダグダで「とりあえず何の話をしているのかくらいはわかる」くらいの出来栄えです。
■現地の解説板より
この給水塔は、昭和19年の戦争末期に蒸気機関車の給水塔として軍輸送のために阪神電鉄により武庫川線として敷設され、当時の省線(JR線の旧称)との間で相互乗り入れが行われていた。
この路線は、その後、工業資材などの輸送を行ってきましたが、昭和30年代にその役目を終え廃止されました。
戦後の社会復興に貢献してきた武庫川線の歴史を残す貴重な資料、また、歴史的かつ地区のシンボルとして補修を施し、モニュメントとして生まれ変わりました。
公園のすぐそばにある跨線橋から、JR線と公園とを眺めます。
JR線の敷地はおそらく戦時中から変わっていないと思うので、公園の幅分がまるごと阪神武庫川線の敷地だったのかと考えます。
園内はモニュメントだけというわけではなく、モニュメント前のSL柄の舗装広場を挟んで神戸側は土敷きの広場、大阪側はいくつかの遊具がある園地になっています。下写真は土広場。
こちらが園地。細長いなりに園路が1本通っていて、ブランコや鉄棒、ジャングルジムなどの遊具が置かれています。
せっかくなので給水塔に似た円筒形のジャングルジムがあればよかったのですが、そこまでは手が回らなかったようです。
子供たちの遊び場として親しまれながら地域の歴史を伝える、甲子園口SL公園でした。
(2021年11月訪問)
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