金武町役場の西すぐのところに、御嶽の森をそのまま緑地公園としたトゥムスズ緑地公園があります。
一見するとニュータウンの隅っこにある残存緑地のようにも見えるのですが、金武集落の重要な聖域であり、周辺に少なくなった植生が残る場所でもあります。
■現地の解説板より「トゥムスズ御嶽」
金武町指定文化財/種別:記念物/指定:平成6年4月28日/所在地:金武町字金武126番地
トゥムスズ御嶽は「琉球国由来記(1713年)」に金武間切、金武村トゥムスズイベ(神名シマネドミ)金武ノロ崇所と記された御嶽である。
村建ての火神として御嶽を中心に周辺には、根神、祝女殿内、外間、掟神の居所が築かれていることから村落構成の基礎をなした地域と推察される。
御嶽は金武の村落共同の火神が祭り継がれてきた歴史のある御嶽で、かつ先人の遺跡分布地であり、琉球石灰岩地帯に自生する植物群落の森は先祖が守り育ててきた自然の遺産である。金武町教育委員会
解説文に出てくる根神(ニーガン)、祝女(ノロ)、掟神(ウッチガミ)等は祭祀に関わる女性たちの神職名で、村で一番大切な御嶽の周りにそうした人たちの居所があるということ書かれています。
公園の隣りにあったこの拝所も、それらのうちの一つなのでしょうか。
さて、肝心の園内ですが「重要な御嶽を公的に保存するための手法として公園にしている」という雰囲気が溢れており、一般的な公園とはかなり違っています。
なにしろ、一般的な街区公園サイズである2,500平米くらいの広さの小丘が、ほぼすべて亜熱帯の森です。
冒頭に書いたように、植生保全地としての性格もありますので、参拝路というか、あるいは自然観察路というべきか、とにかく園路は歩けるのですが、それ以外は全面的に森です。
でも同じ森でもNo.2738 ティダガー森林公園と比べると、No2738は谷、こちらは丘なので湿り気が違っていて、こちらの方がかなり歩きやすい印象です。
■現地の解説板より「トムスズ緑地公園の自然植生」
本公園内の植物は沖縄群島の隆起サンゴ礁石灰岩地帯に分布する植物群落の特性を示しており、かっては金武・並里の石灰岩地帯にも分布していたとおもわれますが、現在は町でも部分的にしか確認することができません。
本公園内の所産植物として、主なものに高木層にアコウ、ハゼノキ、アカギ、リュウキュウハリギリ、ホルトノキなど、亜高木層にリュウキュウガキ、ヤブニッケイ、クスノハガシワ、アカメガシワ、シマグワ、シロダモ、フクギなど、低木層にはクロツゲ、ゲッキツ、トベラなどが出現しています。
これらの公園内の自然は我々の先祖が遺してきた遺産であり、我々もまた子孫へ正しく遺しておく義務がありますので、立木の伐採を禁じ公園施設を大切にしましょう。
森なのですが、なまじ公園なだけに、園路のところどころにベンチが置かれています。
しかし座面は苔むしていて座りにくいし、座ったところで視界はまったく開けないので、コンクリート製のスツールくらいに取り替えた方が良いかな、と思います。
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