神戸市西区の櫨谷町(はぜたにちょう)は、櫨谷川が台地を削ってできた川沿いの農村地帯ですが、その中でも最も南にあたるのが松本地区です。
ここの櫨谷川沿いに、農業用の井戸を掘っていたら噴出してきたという「松本自噴泉(まつもとじふんせん)」があり、その周りが松本自噴泉公園になっています。
櫨谷川の東(左岸)側、まだあまり育っていない桜堤の道路を歩いていくと道路沿いに見えてきます。
着いてみると、思った以上に轟々と湧き出ています。
横を流れる櫨谷川の伏流水だと思うのですが、これはなかなかのもの。
公園とはいいますが、施設としては自噴泉のある池と、その横手のパーゴラ、少しばかりの花壇くらいです。おそらく神戸市の市民公園制度(民間の土地のまま市民に開放する)を使って、財産区の水源地を整備したのではないかと思います。
解説板を読むと、自噴泉は第1、第2があり、第2の方は水量が少ないからポンプアップもしているそうなのですが、たぶん眼の前で轟々と湧いているのが第1自噴泉で、第2自噴泉は横手の小屋に隠れているのではないかと思います。
■現地の解説板より
【第1自噴泉】1970年約10haの農業用水として地下40Mまで掘り下げた地点で、工事用のやぐらを吹き飛ばす勢いで水が噴き上がり、工事を中断し自噴泉となる。自噴日量 1,100t (1993)
【第2自噴泉】1994年神戸市松本土地改良区特別事業として農業用水確保のため工事第1自噴泉と同40M 掘り下げたが水量は3分の1以下しか自噴しない。自噴水量 日量300t (1994) ポンプアップによる水量 日量 1,300t
この空色の小屋の中ですね。
工事用の櫓が吹き飛ばされたりして色々大変だったようですが、農地改良事業は無事に終了しています。
当たり前ですが、周りは田んぼばかり。右奥に少し大きな、カワサキの工場が見えています。
松本地区は地域づくり活動にも熱心に取り組んでおり「まつもと自慢25選」というのが地域の皆さんの投票で選ばれています。ここ自噴泉公園は、そのうちの1番。つまり投票結果第1位だったようです。
せっかくなので、川沿いに少し歩いて、近くにあるものも訪ねてみます。
こちらは8番の二星神社。漢字表記だけなのでわからないのですが、読みは「にぼし神社」で合っているのでしょうか。
松本地区に多くお住まいの二星さんのご先祖が祀られている神社だそうです。
こちらは4番の「岡之屋形跡」。源氏物語では、明石入道の娘である明石の君がここの邸に住んでおり、光源氏が訪ねてきます。
源氏物語はもちろん創作なのですが、文芸好きだった明石藩主・松平忠国が、「せっかくだから、自分の領地内に縁の地があると嬉しいよね~」と思ったようで、どうにかして場所を比定して(どうやって?)、自作の歌碑を建てたものを、平成年代に復元したものです。
農村地帯のそぞろ歩きが楽しい松本自噴泉公園でした。
(2025年8月訪問)














0 件のコメント:
コメントを投稿