1598/1000 コフフン(奈良県天理市)

2017/09/28

駅前 古墳 天理市 奈良県

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コフフンはJR・近鉄の天理駅前にある駅前広場が再整備され、2017年(平成29年)4月にオープンした公共空地です。
土地の権利関係や事業手法はよく知らないのですが、少なくとも都市公園ではなさそうで、広場、建物、駅の高架下に入っている店舗などをまとめてコフフンと呼んでいるようです。

高いところから見下さないと全体像がわかりにくいのですが、駅を出てすぐのロータリーの横に、古墳をモチーフにしたという円形の凸凹がたくさん作られ、それぞれが観光案内所、ステージ、遊具などになっています。
提供者側では、それぞれの凸凹をカタカナ書きでコフンと呼んでいるようなので、以下の文章ではそれに倣います。

下の写真は観光案内所、レストラン、レンタサイクルショップなどが入った建物コフン。あえて数段下がったところを地盤として、その上に建物を建てるという竪穴住居方式を採用しています。

これは遊具になっているコフン。階段を登って穴をくぐった先が遊具になっています。
階段部分は、横穴式の古墳で言えば羨道にあたると言えましょうか。

中はエアドーム式の「ふわふわトランポリン」になっています。
中心部にトランポリン、その周りには白い砂を敷き、躯体部分が階段状のスタンドになってコロシアムのようにトランポリンを見守ります。
同型の遊具としては大型で、これ一つで親子連れの人気を集めることができます。ただ、構造的にベビーカーを押したままは入れないので、小さな兄弟を連れている場合などは少し困るかも知れません。

また、こういうデザイン優先の空間にありがちなのですが、陽射しを遮るものが全然ないので、スタンドに座って見守る側は暑くて大変です。
ということで、臨時でテントや扇風機が設置されていました。

もう一つの遊具コフンは、いわゆる「すりばち」になっています。
ちょっと角度がキツめで、幼稚園児では厳しいかも?な形状です。もう少し緩やかにするか、楕円形にして緩急をつけると良いのですが、コフンは真円形と決まっているようなので仕方がありません。
また、すり鉢の底の着地面には、後付けで白いマットのようなものが敷かれていました。たぶん元々は硬い素材で作られていて、ケガをする子供が出たので急遽対応したのでしょう。

ほかにも一般的な遊具も据え付けられており、ブランコ、ネット遊具などがあります。

広場中が階段だらけなのに、滑り台には階段がないタイプなのが面白いところ。

私の好きな揺れる遊具も、動物などの象形タイプではなく、コフンの邪魔をしない丸や四角のものが採用されています。

子供向けの遊具のほかに、大人向けの健康器具も設置されています。
ただ設置するだけではなく、それぞれに使い方の解説が添えられており、また時々は健康運動指導の専門家が教えてくれる機会もあるようです。

子供は遊具があれば自由に遊んでくれますが、大人はそうはいかないので、教えてもらえる、時には調子を見てもらえることなどがセットでないと、なかなか設置者の意図のとおりには使ってもらえません。
とくに駅前で人目につくので、体を動かすことに自信がある人でないと、ここで運動をしようという気にならないことでしょう。それだけに、ソフト面のサポートが重要だと思われます。

再びコフンめぐり。
これはステージになっているコフン。こちらにも日よけの仮設テントがたくさん並べられていました。
たくさんのテントを出したり入れたりするのは大変だし、保管場所も必要なので、初めからきちんと屋根をつくって置く方が良いと思うのですが、ここの場合は仮設を選択したようです。

こういう部分が日陰になるのですが、座って休むのにはすこし窮屈です。

結局、座って休みたい人は、駅舎の影になる場所に集まっていました。

もっとも、緑が少ないわけではなくて、旧・駅前広場の時代から残っているもの、新しく植えられたものなど少なからぬ高木があるのですが、人が座って休みたくなる場所とはあまり関係なく植えられている節があります。

また白一色なので段差を認識しづらいところがあり、足を踏み外したり、つまずいたりしやすいので注意が必要です。
現場を預かる担当者は縁のところに黄色いペンキでも塗りたくなるでしょうが、それはさすがにできません。

ちなみに公衆トイレは改修以前からあったものなので、コフンの仲間には入れてもらえない真四角のものです。
駅前広場に人が少なかった時代の名残で、道路側に一般便所があり、広場側は車いすようになっています。

という事で一回りしてみましたが、以前は人気が少なく、広場というよりは大きな通路だった空間が大きく生まれ変わり、中心市街地に人が集まれる場所ができているのには驚きました。
また、人気デザイナーによる作品として、今まで天理市に縁がなかった人たちを呼び集める効果もあると思います。

公園は、どちらかと言えば周囲に馴染むこと、環境と調和することを優先するものなのですが、コフフンは建築的で周囲から浮き立つもの、目立つものとして、デザインモチーフである「古墳」の存在感を踏襲したものとなっています。

運営・管理上の課題は少なくないように思いますが、それを補って余りあるパワーを感じる場所だと感じた天理駅前のコフフン。
近年のトレンドである「人の集まる公園をつくる」こととともに、「人が集まる場所を公園として再デザインする」ことについて示唆に富んだ場所でした。

コフフンオフィシャルサイト

(2017年6月訪問)

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