花街の流れを汲むスナック街にもほど近い立地なのですが、公園そのものは京阪電鉄の石山坂本線(路面電車)が通る大通りに面しており(正確には大通りで2ブロックに分割されていますが)、明るい雰囲気があります。
公園内の解説板によれば、60年近い歴史を持つ大津市でも古い公園で、かつては街頭テレビが設置されて賑わっていたそうです。
そうした歴史を持つ上に、わりと最近にワークショップ方式で市民の意見を集めた改修がおこなわれたこともあってか、園内には同じようなことを繰り返し述べてくる解説板が場所を変えて3つ置かれています。「大事なことは書き記す」姿勢は好ましいのですが、ちょっとしつこいようにも思います。
さて、現在の川口公園。
路面電車の通る道を挟んで桜の木が茂っているところが公園で、写真左が北側、右が南側の2つのブロックにわかれています。
北側のブロックは、赤いポストが目印の遊具広場になっています。ちなみにポストには回収時間の予定表が付いていましたので、遊具や飾りではなく現役のもののようです。
木製の小さな複合遊具、砂場、揺れる動物、東屋などがあります。
複合遊具は2階のテラス状になっている部分の床が傷んできており、少し力を入れたら外れるくらいになっていました。
床下側を見てみると柱にも傷みが出ており、しっかりした補修か入れ替えが必要なようです。
そして南側のブロックは、北側と比べて長さがある分、より「堀」らしさが残っています。
北側のものより大きな木製複合遊具があるほか、堀の石材を使ったモニュメント、細長い広場などがあります。
北ブロックでの遊具の老朽化が気になったので、こちらの遊具もじっくり見たかったのですが、保育所の子供たちが団体で遊びに来ていたので、そうも行きませんでした。
とは言え、そんなに子供たちに人気なのだとしたら、早いうちの点検・対応が必要だとも言えるので気にかかります。
ところで、両側の公園の間を通る京阪電車は、最近ラッピングに熱心で、それも一般にはそれほど知られていないであろうコミックや深夜アニメでもどんどん採用しています。この時は「鉄道むすめ」のラッピング電車が通っていました。
個人的には、派手な色彩のアニメ絵ラッピングは景観的に難ありだと考えていますが、地域活性化や鉄道収益とも天秤にかけて、市民、行政、鉄道会社がそれぞれ納得しているなら構わないかな、とも思います。
まぁそんなこんなで、色々と過剰気味な川口公園でした。
■現地の解説板より「川口公園」(北ブロックの解説板)
旧川口町と旧中保町に接し位置する川口公園は、古い歴史の川口堀の跡地に昭和31年開設された伝統のある公園です。
家並みが続く市街地にソメイヨシノが絢爛に咲き誇る様は、この地域の風物詩にもなっています。
地域とともにその歴史を刻んできた川口公園ですが、その改修に際しては、公園づくりのためのワークショップ「川口・中保公園若返りの集い」が地域住民の皆さんの参加のもとに開催されました。大津市の取り組む公園整備で、直接、住民の方々が計画を作る「ワークショップ」方式を取り入れた最初の例です。
大津市が市制百周年を迎える記念の年に、地域の皆さんのアイディアで新しく生まれ変わった川口公園が、末永く皆さんに愛される公園となることを祈念します。平成10年3月 大津市この石材は、川口堀に使われていたものを再利用しました。
■現地の解説板より「川口堀」
この地には江戸時代、薪炭類などの諸物資を荷揚げする船入り堀がありました。今からおよそ300年前の元禄8年(1695)に作られた川口町絵図には、琵琶湖岸から浜通りまで、長さ約214mの細長い堀が描かれ、堀の中ほどに、すでに橋が架けられていたこともわかります。
この川口堀は、大正末期に一部埋め立てられましたが、堀の一部は戦前まで残り、湖東方面から肥船が肥の回収にやってきて、替わりに野菜を置いていったということです。
写真は大正初期のもので、右奥に写っている石橋は、現在長等公園内に移築されています。なお川口堀はその後完全に埋め立てられ、昭和31年には現在のような公園として整備開設されました。
■現地の解説板より「川口公園」(南ブロックの解説板)
古い歴史の川口堀の跡地に昭和31年開設されたここ川口公園は、昭和30年代には街頭テレビが設置され、当時はまだテレビの普及率が低いこともあり、多くの人々が集まりたいへんな賑わいを見せていました。また、公園の外周に植栽されたソメイヨシノが絢爛に咲き誇る様は、密集した市街地に潤いを与え、この地域の風物詩にもなっています。
このように、地域とともにその歴史を刻んできた川口公園ですが、今回の改修計画の立案に際しては、公園づくりのためのワークショップ「川口・中保 公園若返りの集い」が平成9年7月以来、のべ62人の地域住民の皆さんの参加のもとに開催され、計画が決定されました。大津市の取り組む公園整備で、直接住民の方々が計画を作る「ワークショップ」方式を取り入れた最初の例です。
大津市が市制百周年を迎える記念の年に、地域の皆さんのアイディアで新しく生まれ変わった川口公園が、末永く皆さんに愛される公園となることを祈念します。
平成10年3月 大津市
(2014年6月訪問)
0 件のコメント:
コメントを投稿