神戸市北区の北鈴蘭台駅周辺では、駅直近の甲栄台などは1970年代から分譲されていますが、その南の松宮台は21世紀に入ってから分譲が始まった比較的新しい住宅地です。
そんな松宮台にある松宮公園は、借景が見事な小公園です。
そもそも「借景(しゃっけい)」とは、と言い出すと長くなってしまいがちなくらい庭園においては重要な技法で、小学館『デジタル大辞泉』では”造園技法の一。庭園外の山や樹木などの風景を、庭を形成する背景として取り入れたもの。京都修学院離宮庭園などが知られる”と国語辞典なりに短くまとめているのですが、東京農業大学造園学科編『造園用語大辞典』では"庭園における外部景観の眺望形式の一種..."から始まり、半ページ以上に渡って語られています。
造園家の重森完途さんは、小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』で、この借景を12種類に分類して解説していますが、松宮公園の場合は、"背景の森林を庭に接続しているようにみせる"に該当するでしょうか。
と、ここまで読んでいただいて、お気づきになったでしょうか。じつはさっきから見えていたツツジの丘は、公園とは道を挟んだところにある水道施設のツツジだったのです。
園内の遊具あたりから眺めると、間にある道路を隠して、ツツジの丘までがひと続きの公園のように見えます。とはいえ、電柱があるからわかってしまうところは、公共公園の限界値としての御愛嬌。
接続部となる、公園側の道路沿いにもこんもりとツツジを植えることで、あたかも奥の森と接続しているかのような景をなしています。
この藤棚の下あたりからツツジを眺められるとちょうど良いのですが、あいにくとベンチは園内の滑り台の方を向いています。
滑り台も、じっと見ていると、なかなか美しい造形ではあるのですが。
ツツジのことばかり気になって、マツのことは忘れていた松宮公園でした。
(2026年5月訪問)









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