大阪府泉大津市にある泉穴師神社(いずみ・あなしじんじゃ)は、和泉国二宮とされる式内社です。周りが市街化する中で残された社叢林は1989年(平成元年)に「泉穴師神社の森」として、大阪府のみどりの百選にも選ばれています。
そんな泉穴師神社境内のところどころが、市の豊中公園となっています。
まず本殿に向かって右側、遊び場として整備されているエリア。敷地の取り方も、施設内容も、いかにも「境内地を使った児童公園」で、少し懐かしい雰囲気に溢れています。
施設は滑り台、2連ブランコが2基、四阿など。あとはベンチと、大量の切株が並びます。
元々は、クスノキやエノキがもっとたくさん植えられていた社叢林の下を遊具が間借りしていたのでしょうが、最近になって大半が伐り倒されたようで、明るい空の下で遊べるようになっています。
でも騙されてはいけません。本物の切株の中に、擬木の切株型スツールが交じっています。
スツールを置いた時は、本物の切株がこんなに増えることは想定していなかったでしょうが、今となっては間違い探しのようになっています。
でも本物からは、このように孫生え(ひこばえ)が出ているので、よく見れば騙される事はありません。
続いて本殿に向かって左側、今もしっかりと社叢林が残るエリアへ向かいます。
歩いていくと、林の中に急に園名板がありました。でもこの柵の向こうが公園区域というわけでもなく、通路部分も含めて全体が都市公園になっているようです。
さらに進むとキノコの四阿。林の中の公園らしい雰囲気を醸し出しています。
でもキノコのすぐ向こうで、公園というか神社境内を出てしまいました。
戻って探すと、社殿の裏の方の社叢林へ回り込める別の道がありました。
道沿いには、だんじりのコマ(車輪)が大量に置かれています。
重いだんじりを支えるコマは傷みやすく、一日曳き回せば交換するような消耗品なので、これもそうした経緯で神社に集まってきたものと思われます。
にしても大量で、ただ山積みにしてあるだけでなく、園路や池の土留、水路の飛び石代わりと、多彩な再利用が行なわれています。公共工事の基準にはそぐわない気もするのですが、社叢林としてのリサイクル、木を森に返す取り組みとしては面白いと思います。
先に挙げた『大阪みどりの百選』のパンフレットは、もう35年も前のものですが、そこに「樹齢600~800年に及ぶ古木が数十本自生しており」と書かれているだけあって、社叢林の樹々は、かなりの重量感があります。
中には台風で倒れてしまったものもありますが、根が土から離れてもなお枝葉は茂り、新芽も出てきていますので、森の再生を表すシンボルのようにも思います。
関係者の方々も同じように考えたのか、無理に撤去することなく、そのまま置いておくことにしているようです。
豊中市ではなく、泉大津市にある豊中公園でした。
(2023年12月訪問)
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