2531/1000 唐熊公園(神戸市西区)

2020/09/11

屋上公園 史跡 神戸市西区 身近な公園 兵庫県

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唐熊公園は、神戸市の水環境センター(下水処理場)施設の屋上を使った屋上公園です。
人や自転車は建物の中のエレベーターを通って出入りするのですが、屋上部分に駐車場があるので、自動車は遊び場のすぐ隣まで横付けすることができます。

駐車場の横手から公園全体を見渡すと、このような風景が広がります。
周りに高い建物が少ないところに平坦地があって、屋上なので園内に高い樹木も少ないため、かなり広々としています。

遊具は、黄色い屋根が印象的な複合遊具と、大人向けの健康器具くらいですが、それよりは広々とした空間で走ったり転げたりして遊ぶ方が楽しいタイプの公園です。

あとは、下水処理場に関連する施設だけに、水・環境・エネルギーといったことにちなむような施設がチラホラと入っています。
池と流れは、訪れた時は水が枯れていましたが、下水の処理水を流す構造になっているのでしょうか。

太陽光発電システムは、公園にはなっていない部分の処理場建物の屋根に大きなパネルが乗っかっています。
整備された当時は最新鋭のシステムだったのでしょうが、今となってはご家庭の屋根にも付いているものなので、子供たちの関心はさほど惹かないように思います。

さて、エレベーターで地上部に降りてくると、処理場建物の周りもちょっとした園地になっており、散歩や休憩くらいなら、屋上まで行かずとも楽しめるようになっています。
屋上は日除けが少なくて暑いので、ご近所の方々の利用は、むしろ地上部の方が多いかも知れません。

さらに、一度ここから一般道に出て、処理場建物の北側に回り込むと、ここが「吉田南遺跡」の復元整備エリアになっています。
吉田南遺跡は、1976年(昭和51年)に処理場建設に伴う発掘調査で発見された遺跡で、古墳時代の集落跡や明石郡衛の可能性が指摘される奈良時代の遺構群等が見つかっており、その後、処理場の東にある看護大学やその南にある県立がんセンター等の敷地でも関連する遺跡が見つかっていることから、この付近が古代明石の中心地だったと考えられるそうです。

■現地の解説板より「吉田南遺跡」
吉田南遺跡は、海岸線から2kmの明石川右岸の沖積地上に立地しています。神戸市の玉津環境センター建設に伴って、昭和51年から55年まで発掘調査を実施しました。
その結果、弥生時代や古墳時代の竪穴式住居址が98棟、奈良~平安時代・鎌倉時代の掘立柱建物76棟、井戸、溝、川にかかる木橋等が発見されています。特に奈良時代後期~平安時代前期には、掘立柱建物群が整然と配置された状態で発見されており、硯、瓦、木簡、墨書土器、官人の帯金具などが出土していることから、古代明石郡の役所の一つである可能性が高いと考えられています。
貴重な遺構として保存された掘立柱建物の一部をここでは復元、整備しました。
平成元年10月

 神戸市建設局西水環境センター、神戸市教育委員会

復元整備にあたっては、個人的に「阿部定方式」と呼んでいる、建物柱の根元だけを復元する方法が全域にわたって採られています。
これによって柱の位置・数・太さなどが表現され、イス代わりにも使うことができるという優れもののアイディアですが、そのように教えてもらわないと何のことかわからない手法でもあります。

近代的な屋上庭園と古代遺跡が景をなす唐熊公園でした。

(2020年3月訪問)

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