それ以前の地図を見るとマツなどの山林が広がっており、1954年(昭和29年)に、その山林の一角で全国植樹祭が開催されました。
天皇・皇后両陛下が参加した全国植樹祭の用地は、周囲が開発されても残さねばならないので、都市公園である学が丘北公園から一続きになるように保全されて、今にいたります。
地形的には、東から西方向へと下がってくる谷筋の上部が県有林、谷の出口付近が公園になっています。
学が丘地区では中心的な公園ということもあり、エントランスには少し凝ったサンクンガーデン(沈床庭園)も設置されていました。
今は芝生だけになっていますが、おそらく整備当初はバラ園や花壇など、もう少し華やかな植栽がされていたことでしょう。
公園そのものは周りの住宅地の子供たちをターゲットにした遊び場型の仕立てで、この複合遊具をメインに、滑り台、ブランコや鉄棒、砂場などのオーソドックスな遊具が設置されています。
ただ、敷地の中で遊具が散らばって設置されているせいか、どこか「余裕がある」ように見えます。
遊具のある一角から離れて谷を上っていくと、木立に囲まれたスペースがあり、最初のうちは広場の方が勝っているのですが、
だんだんと木陰が濃くなって林の領域に近づいてきます。
このような山林の風景に変わります。
おそらくこの辺りから県有林に入っているのだろうと思いますが、公園と県有林の境界は現地ではまったくわかりません。
ちょうどこのあたりが全国植樹祭で天皇・皇后のお手植えがされた場所のようです。
ところで、ずっと全国植樹祭の話をしていますが、後の2005年(平成17年)に同じ場所で全国育樹祭も開催されています。
知らない人には同じもののように勘違いされてしまいますが、植樹祭と育樹祭は別々の行事、ただし対のものとして設定されており、終戦後の1950年から天皇が参加して各地で植樹を行なったのが植樹祭で、その際に植えた樹木を皇太子らが手入れしてまわるのが1977年から始まった育樹祭です。
「森林を育てるのには長い年月がかかり、世代をまたいだ努力が必要」という思想を皇族が行為として示しているわけで、なかなか日本的な行事だと言えましょう。
1954年(昭和29年)の植樹祭の頃には、あまり樹木の多くない痩せ地だったようですが、数十年の間にまぁまぁ立派な山林になっています。
外観はアカマツーコナラの明るい林で、私が訪れた時にはツツジの花があちこちに咲いていました。
こういう明るい林は、いつの時期に歩いても気持ちがいいですね。
放っておくとすぐに照葉樹が増えて暗くなってしまうのですが、ここは良い感じに保たれています。
モノは良いのですが、「県有林」という名前が味も素気もないので、愛称くらいは欲しい小束山県有林でした。
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