京都の旧市街地北部、堀川通沿いにある扇町(おうぎちょう)公園は、「日本最初の天満宮」を号する水火天満宮と一体的な敷地になっていることから、京都市の資料でも扇町(天神)公園とダブルネームで呼ばれています。
ですので、公園のフェンスには天満宮の幟も掲出されています。
このように社寺と公園とが一体になっている例は、明治初期にそれ以前からの社寺境内を公園とした場合か、もともとの農村部などで共有地っぽく使われていた社寺有地を、都市スプロールや人口急増で公共オープンスペースが足りなくなった時代に緊急的に公園に編入した場合が多いのですが、ここは違っています。
水火天満宮のHP等を参考にすると、戦時中には建物疎開が行なわれた堀川通において、戦後に道路拡幅が行なわれた際に、通りの東にあった大應寺という寺院の南隣接地に、それまでは通りの西側にあった水火天満宮を移設し、同時に児童公園が設置されたそうなので、都市計画事業の一環で計画的に整備された神社と公園ということになります。
こちらが現在の水火天満宮。堀川通側にも参道は開いていますが、南面した社殿に正面から入っていくのは公園側の参道です。
ちなみに大應寺にお参りする場合も、公園内を通ることになります。
大應寺の隣に建つ住宅は「玄関出たら公園の家」になっていますが、おそらくはお寺の庫裏なのでしょう。
さて、社寺ばかり見ていないで公園に戻ります。
敷地は5,000平米弱あり、市街地ではかなり広い部類に入ります。それでいて施設は少なめで、周りに高い建物もないので、非常に開放感が感じられる園内です。
これくらい広いと大型遊具を設置したくなるところですが、おそらく社寺の門前ということで派手なものは押さえ気味になっているのでしょう。
2連ブランコと、2連のシーソー、
幼児向けの小ぶりな複合遊具と大きな砂場、
木陰の揺れる動物遊具くらいしかありません。
あとは大人向けの健康器具が少々といったところ。
トイレや木陰もしっかりあって、ご近所からも集まりやすい立地の公園としては、少し寂しく感じられるかも知れません。
その代わりというわけでもないのでしょうが、扇町(天神)公園の南側には、小さな遊び場が設置されていました。
こちらは都市公園では無いように思うのですが、現地に園名板などはなく、具体的な名称などは不明です。
こちらには、幼児向けの滑り台、ラダー遊具、鉄棒などが設置されています。
それぞれの遊具の下には事故防止のための人工芝が敷かれているあたりが、京都市の他の公園とは少し毛色が違っています。
社寺や町家などの京都の風景によく馴染んでいる扇町(天神)公園でした。
(2020年6月訪問)
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