末広中央公園は宝塚市役所のすぐ隣にある4.1ヘクタールの地区公園で、様々なイベント会場にもなる宝塚市を代表する公園の一つです。
しかし公園としての歴史は意外に浅く、阪神・淡路大震災後に、旧・三和銀行が所有していたグラウンドなどを市が取得・整備し、防災公園として2004年(平成16年)に開園したものです。
ちなみに宝塚市の資料によれば用地費・用地補償費で78億円、施設整備費で11億円、合計89億円かかっています。既成市街地の中で用地を確保するのは、ホント大変だなぁと思います。
市街地型の防災公園は、防災のために必要な構造があり、また国の補助で整備できる施設やすべき施設が決まっているので、大雑把にはどれも似たような概観になりがちです。
ここも中央に避難場所にもなる大きな広場を取り、水路を通して水を確保し、火災延焼防止に役立つ高木で周囲を囲むという基本構造はありがちです。
しかし、広場の一角にある大きなステージは特徴的です。イベント時になどにステージとして利用できるのはもちろんですが、大屋根がソーラーパネルになっていて災害時には非常用電源になるそうです。
直線的な水路と並木の組み合わせも、この公園を印象づけるものです。どこか中央アジア的な風景を思い起こしてしまいました。
たぶん井戸水を流していると思うのですが、これも災害時の生活用水となるものです。水路沿いに整った間隔で植えられているのはシラカシで、含水率が高く火災の延焼を食い止める防火樹として知られている樹です。
広場の西端の方が遊び場になっており、大型複合遊具、幼児向けの小型の複合遊具、成人向けの健康器具などがあります。
目玉になるのは、こちらの大型複合遊具。多くの複合遊具は曲線的なシルエットを持つことが多いのですが、ここのものは直線的な隅櫓が印象的です。
開園当時の資料を見ると「(災害時は)シートを取り付け、応急生活空間を確保します」と書かれているので、この櫓の2階部分も居室になるのかも知れません。そう言えば、専用の階段も付いているし。
もっとも、この階段は使用禁止になっていました。老朽化で傷んでいるいうよりは、幅が狭すぎて使えないような気もします。
あと、遊具で面白いなと思ったのは、こちらの「滑らず台」。
一見すると複合遊具の滑り台に見えますが、じつは幼児でもできる角度に設定された崖登り遊具であるようです。
そして、一見するとモニュメントのように並ぶコンクリート製のパーゴラですが、防水シートやパーティションを組み合わせると仮設建物のような使い方が可能で、避難生活のための空間を手早く作れるようになっています。
ただ、普通のテントと比べるとかなり大きいため、ここに掛けられる防水シートやパーティションを保管しておくだけの倉庫を準備することを思えば、そのスペースを使って運動会テントのようなものを沢山保管しておく方が融通が利いて役に立つようにも思います。
とまぁ防災色の強い末広中央公園なのですが、
東側の入口近くには「平和の鐘」「被爆アオギリ二世記念植樹」(被爆クスノキも)、「平和祈念ベンチ」などが集まっている一角もあります。
また、現在は別の公園にある震災慰霊碑を、平成27年度中にこの公園に移設することが決まっており、徐々にモニュメントが増え始めています。
本ブログでたびたび触れてきましたが、町を代表する公園には、その時々の市民の総意、一部の市民の善意、為政者の虚栄心、行き場のないものの漂着など色々な理由でモニュメントだらけになることがあります。
よい例がNo.160 高松市の中央公園、No.431 神戸市の東遊園地などなのですが、ここでも開園から10年が経ち、それが進み始めているようです。
(2015年3月訪問)
(2017年9月追記)
記事中では「現在は別の公園にある震災慰霊碑を、平成27年度中にこの公園に移設することが決まっており」と書きましたが、その後、議会の反対があって、この件は中止になったようです。
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