No.738の東川崎公園で登場した東川崎町の隣に、東出町(ひがしでまち)、西出町(にしでまち)という町があります。『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』(角川書店)によれば、いずれも江戸時代の兵庫津の出町として発展したとなっています。
歴史用語としての「出町」の意味がよくわからないのですが、現地の地図などを見ながら考えるに、元々の兵庫津を構成する町から滲み出た新興の町という意味ではないかと思います。(正確な意味をご存知のかた、ぜひコメントにてご教授ください)
いずれにせよ、江戸時代には兵庫津を構成する北浜・南浜・岡方の三方のうち北浜に属する町として栄え、蝦夷地貿易やロシア外交で有名な高田屋嘉兵衛の高田屋など廻船問屋が軒を連ねていたようです。
現在は下町の住宅地になっていますが、古い町並みの中に趣きのある神社や小さな造船所などもあり、なんとなく往時を偲びながらのそぞろ歩きも楽しい東出町にあるのが、東出町公園です。
公園そのものは、これまで述べた町の趣きとはとくに関係なく、フェンスに囲まれた多目的広場、保育園と隣接する遊具広場、大人向けの健康器具の並ぶ広場などのある普通の街区公園です。
敷地としては、中心部に多目的広場を取り、北に遊具広場、南に健康器具があります。
遊具広場は、敷地の中心にケヤキを置き、小ぶりな複合遊具と、滑り台などが設置されています。
ケヤキの周りに石のスツールを並べているところが、ちょっと小洒落ています。
健康器具のある広場は、レンガ敷きの中央にコニファーのある欧風のデザインなのですが、健康器具の部分だけが真っ青に浮かび上がっています。
もともとあった広場に健康器具を付け足したのかも知れませんが、ウレタンの色にもう少し気を使って欲しいように思います。
多目的広場は少年野球1面分くらいの小さなものですが、近くには公共のグラウンドがあまりありませんので、地域の行事などに使えるのではないかと思います。
ところで、公園のすぐ近くに松尾稲荷神社というお社があります。
かつての神戸一の繁華街・新開地に近いということもあって、役者、芸妓、水商売などの人々の信仰が厚く、数多くの提灯が納められたことで有名だったそうです。
今も提灯の奉納は続いており、暗い社殿の中に提灯がズラッと並び光っている景色は、ほかの神社ではあまり見られない面白いものですので、東出町にお越しの際はぜひ訪ねてみてください。
ビリケンさんもお祀りされています。
(2014年6月訪問)
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