六甲山系の一角にある森林植物園は、市街地からならドライブウェイを通って車で30分ほど。最寄りの神戸電鉄の駅からノンビリと歩いても30分ほどですので、さほど遠いところでもありません。
しかし園内は140ha以上あり、全体をゆっくりと散策するだけでも2時間、じっくりと観察をすれば1日でもすごせる広大なものです。とても全部は紹介しきれないので、今回はさわりだけ。
駐車場に車を止めて園内に入ると管理棟(展示施設、レストラン、売店)。
建物の周りは植物園全体の玄関口らしく小ぎれいにまとめられており、食事をしたり休憩をしたり、ここだけでもそれなりに楽しむことができます。
管理棟の前に飾られていたのは、園内で採れる材料だけで作られたというウマ。よくできています。
展示室内にいた恐竜も園内の材料で作られたのかな?
植物園とは言いますが、英名が" Kobe Municipal Arboretum "(市立樹木園)だというくらいなので、見た目はほぼ森林です。ただ、全国に数多くある森林公園と少し違うのは、園内樹木のかなりの部分が展示目的のために植栽されたものだという点です。
実際のところ、どれくらいの面積・本数を植えたのか細かいことは知りませんが、森林植物園のHPによれば昭和15年(1940年)、過剰な薪炭伐採によってハゲ山が多かった六甲山系において「紀元2600年を記念すべき神戸市事業として種々熟慮の結果、茲に我国に於ては未だ企画せられざる森林植物園増設を計画し、自然科学の普及の資とするは勿論併せて主要なる観光地造成せんとするものである」「六甲山なみと自然を背景に、端正な樹形をした針葉樹を林として植栽し、四季を彩る落葉樹や花木をそえる」という構想で整備され、六甲山をはじめ日本の代表的な樹木や世界各地の樹木を、原産地別に約1,200種植栽しているとのことです。
しかし紀元2600年記念行事と言えば、戦時下であり総じて神道色が強いものだったはずなのですが、その時にあえて世界各地の樹木を集めた植物園をつくった先人には頭が下がります。
世界各地から樹木が集められているとは言え、馴染み深くて心にとまるのはツツジやシャクナゲなど、日本のものが多かったですね。時期にもよるのですが。
開園当時に集められたものとは別に、昭和中期以降に姉妹都市から贈られた樹木もあって、それぞれの国・地域の様式を模した東屋やモニュメントなどと一緒に「○○の森」として展示されています。
シアトル、ブリスベーン、リガ、天津などなど。
園の中心部にある長谷池の畔では、ラクウショウの気根がでっかく育っていました。
ラクウショウは街なかの公園でも植栽に使われる樹種ですが、乾いた土地ではあまり気根を出さないので、このようにハッキリとした気根を見られることは少ないと思います。
池のそばの森に隠れるように売店があったので、おでんを買って池端で食べました。
なにぶん園内は広く、植物の数も多いため、普通の植物園にあるような解説板や樹名板などはそれほど多くはなく(実際の数は多いのでしょうが、主要な見学コースから外れると目立たなくなる)、そのぶん職員手作りのミニ解説がチラチラと置かれているところに好感が持てました。
また園内にはカモシカ園とウサギ園があって、植物だけではなく動物も観察することができます。
カモシカ園は、園路から少し離れているうえに広い斜面地なので、どこにカモシカがいるのか探さないといけません。
ウサギ園では、ウサギたちがニンジンや菜っ葉ではなく、木の葉を食べていました。さすがは森林植物園なのですが、囲いの中に置かれた枝をよく見てみると、ツガかトウヒか、なにか針葉樹が混じっています。
針葉樹の葉を食べる哺乳類はあまりいないと思うので「ウサギが食べるんかいな?」と思ってしばらく観察してみましたが、誰も手出しをしませんでした。
そのほか、駐車場からメインの園内とは反対方向に進むと、巨大な遊具のある芝生広場もあって、遠足で来た小学生などは、かえってこちらの方が楽しめるのではないかと思います。
またそのうち、アジサイや紅葉など別の季節に訪れることがあれば、第2回があるかも知れません。
●神戸市立森林植物園HP
(2014年4月訪問)
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