雨の神公園は、神戸市東部の山の手を東西に通る山手幹線沿いにある公園です。
このあたり住吉川と石屋川とに挟まれた一帯は、はやくから住宅開発が進んだ地区なのですが、その割には数年前まで住居表示を実施していなかったブロックが残っていて、字名から命名された公園が幾つかあります。ここもその一つで、旧・住吉村の字雨ノ神にあたります。
これについて『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』(角川書店)には、”地名は雨神神社があったことによる(住吉村史)。同社は現在本住吉神社に合祀されており、日照りの続く頃は村人たちが雨乞いの祭りをしたという。”と記されており、少なくとも戦国期には史料に出てくる地名だそうです。
さて、現在の雨の神公園は、地形的には山裾の扇状地にあたるため、小さいながらも高低差のある敷地になっています。
それを大きく上下2段に分けて、山手幹線に面した上段は土の広場、下段が遊具広場になっています。
遊具は古いブランコと、小さめの複合遊具、揺れる動物などがあります。
公園になる以前からのものだと思うのですが、外周といわず園内といわずアカマツをはじめとする樹木が比較的大きく育っており、周囲の落ち着いた住宅街の雰囲気によく似合っています。
上下段の間には、高低差を利用した防災倉庫(多分)。斜面が多い神戸市街地では、よく見かける手法です。
上段の広場の一角にある時計は、一見すると何の変哲もないものですが、1981年(昭和56年)開催のポートピア'81(神戸ポートアイランド博覧会)の会場で使われていたものだということです。ソーラー発電自体が物珍しくハイテクだった頃の名残ですね。
記念物として大切にしたい反面、今日的には何も珍しくない物件であるため、施設としての寿命が来た時の更新をどうするか考えものです。
■現地の案内板より『太陽電池式時計』
この時計は神戸ポートアイランド博覧会で使用されたものを記念して当公園に移設したものです。電源は太陽光エネルギーを利用しています。
昭和56年11月19日 神戸市都市計画局
(2013年12月訪問)
雨の神公園で休んでいて、大きな樹木群の由来が分かるかなと検索したらこのサイトに出会いました。何でもない日常を愛するとてもいい記事だと感じました。
返信削除こんにちは、ブログ作者です。
削除10年も前の記事で、写真も古いのでお恥ずかしいところですが、お褒めいただきありがとうございます。
このあたりは、明治末頃から超豪邸が並ぶエリアとして開発された経緯があるので、屋敷に取り込まれた開発前からの樹木や、屋敷を作る時に植えられたものが、屋敷跡が公園になる際にも一部残されたのではないかと考えています。