繁多川(はんたがわ)は那覇市の町名なのですが、それはハンタガーすなわち「ガケのハンタ(端)にあるカー(泉)」が由来で、今も集落の中に実物が残っています。
そのハンタガーから20メートルほど坂を下ったところの右側に出入口があるのが、繁多川公園。ですので、公園内にはハンタガーはなく、ハンタガーから名前を採られた町にある公園ということになります。
ちなみに、この坂道は首里城から南回りで那覇港へと通じる真珠道(まだみち)の一部で、舗装の下には当時の石畳が埋まっています。数年前の道路工事の際にそれがみつかり、ごく一部ですが再現された箇所があります。
それぐらいの距離感なので、2つ上の写真にも首里城の石垣が小さく写っていたのですが、拡大してみてもよくわからないですね。
さて園内ですが、安里川に向かって落ちていく北向きの急な斜面地が敷地になっており、間口は狭く、等高線に沿って奥深くまで園路が続き、250メートルほど行ったら等高線をヒョイとまたいで戻ってくるような形状になっています。
言葉にしてもわかりにくいので、地理院地図で表してみました。赤線が繁多川公園の園路。
言ったとおりになっていることが伝わるでしょうか。
そういう形なので、基本的には園路を使った散策向けの公園です。
とくに園路沿いにはたくさんのヤシが植えられており、「繁多川公園のヤシ群」として、那覇市の都市景観資源の一つに指定されています。
ヤシは大小いろいろありますが、種類はよくわかりません。
樹名板が付いていてアレカヤシとユスラヤシだけはわかったのですが、全部に付いているわけではなく、せっかく市の景観資源になっているなら樹名板だけでも追加して欲しいところです。
植え方そのものはけっこう乱暴で、ここなどヤシの間にサクラが植えてあります。
サクラが咲く頃には、いささか不思議な写真が撮れることでしょう。
そのほかの施設としては、園路沿いの眺めの良い場所にいくつかの休憩所・展望台がつくられています。でもよくわからないのはここで、高い方の等高線に沿った休憩所の真下に、低い方の等高線に沿って展望台が建てられています。
そのため、わざわざ建てた展望台よりも、簡易な休憩所のほうが眺めが良いという現象がおこっています。というか、展望台の屋根が邪魔で視界が開けきらないくらいです。
ほかにも屋根付きの休憩所がありますが、ガケ下側の樹木が茂ってきて、見晴らしはあまり期待できない状態になっています。
でも、この休憩所に関しては、柱・屋根だけでなくイスやテーブルも含めた「総擬木造」こそが見るべきものだと思います。
折り返し点にある小さな休憩所は、肝試しポイントにちょうど良い薄暗さです。
子供会の行事とかで「終点にある休憩所まで行って、自分の名前を書いた札を取ってくる」なんて、なかなか良いと思うのですが。
あと、いちおう滑り台&砂場だけの遊び場もあるのですが、整備当時と比べて周りの林が薄暗くなっているので、楽しく遊べる環境ではなくなっています。
砂場は周りから草が入り込んで使えなくなっているのですが、それよりも気になるのは縁石に沿って謎の穴がたくさん開いていることです。
アリの巣だろうと思うのですが、砂場の周りをぐるりと囲むように無数に空いており、ここに全部アリが住んでいるなら、相当なものです。
なんというか「南国の生命力」のようなものを感じます。
歩いてみれば、けっこう盛り沢山な繁多川公園でした。
(2022年10月訪問)
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