一乗寺公園は左京区一乗寺の叡山電車沿いにあり、野球場一面と子供の遊び場などがあって、このあたりでは古めかつ広めの公園です。
公園の歴史については、京都市が宝が池公園についてまとめた資料の中に「京都市においては比率人口密度著増せるに鑑み、市民の保健衛生並びに有事避難等の為の諸施設の整備は急速必要とする状況なるにより、新たに都市計画公園三ヶ所を追加せんとするものなり(昭和17年5月19日。西野公園、一乗寺公園と同時決定)」と書かれており、1942年(昭和17年)に戦時中の法制度に基づく防空緑地として都市計画決定されたことがわかります。
ただ、戦後すぐの地図や空撮を見ても現在地は田圃のままなので、計画だけで整備されず、実際に整備・開園したのは、京都市の資料で開園年とされている1949年(昭和24年)のことではないかと考えています。
そんな歴史はさておき、現在の公園敷地は西側が叡山電鉄、北・東・南は道路に接していて、北側の道沿いに、疎水分線に注ぐ第二太田川が流れています。
西側の叡山電車に面している一角は、遊具広場と、その横に白い建物の保育園が建っています。
保育園の間口は、公園の園路と思われる道に向かってしか開いていないので、専門的に言うと公園内占用物件ではないかと思うのですが、詳しいことは知りません。
遊具は、保育園児には少し大きいかも知れない滑り台、ラダー遊具、鉄棒などがあります。
保育園の中にも遊び場や遊具はあるのですが、園から出てきた途端にまた遊具があるので、夕方になってお迎えにきた保護者たちは、子供から「もっと遊びた~い」などと言われて大変かも知れません。
ちなみに叡山電車とも至近距離ですので、子供にとって楽しいものだらけです。
そして野球場と保育園の間を通って敷地北側へと進むと、街なかにしては広めの園地があります。
ここは外周部のイチョウやヒマラヤスギの大きさに対して、中の方に植えられている樹々がまだ小さいので、ここ15~20年くらいの間に再整備が入ったことがわかります。
歩いてみると看板が立っていて、地下に水害防止のための調整池が作られていることがわかりました。
■現地の解説板より「第二太田川調整池の概要」
第二太田川は、左京区一乗寺の市街地を流れ、一乗寺幹線水路(疏水分線)に流入する流域面積約0.5k㎡、延長約1.6kmの普通河川であり、流下能力が不足していたことから、過去に浸水被害が発生していました。
第二太田川調整池は、京都市が進める「雨に強いまちづくり」の治水対策として、一乗寺公園の地下に調整池を整備し、大雨時に第二太田川の水を一時的に取込み、下流へ流れる水の量を減らすことで、10年に1度の大雨にも耐えられるよう防災・減災対策として京都市が整備しました。
解説板の図面を見ると、園地のだいたい半分くらい、ちょうどこのあたりに調整池が埋まっているようです。地上から見てもまったくわかりませんが、解説板の写真にあるように、地下には天井高3メートルくらいの巨大な部屋みたいなものがあり、そこには管理用入孔というマンホールで出入りするようです。
工事が終わってまだ数年ということもあってか、あるいは地下調整池の上に被せた土厚の問題なのか、植物の成長は今ひとつという感じで、景観的には落ち着きません。
あと、この付近では大きな公園の割には、遊具は普通サイズのものばかりなので、もう少し気張っても良かったように思います。
園内の景観はまだ若いところがありますが、遠景は素晴らしい一乗寺公園でした。
(2022年10月訪問)
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