和歌山市では戦災復興事業の中で小学校と公園とをセットで整備することが多かったのですが、ここ新南(しんなん)公園もそのパターンで、東に市立新南小学校が隣接しています。ただ、間に道を一本挟んでいるので「学校公園」のラベルは付けずに済ませます。
しかし今は、そんなことよりも鬼。とにかくオニですよ。
この公園は北半分が野球場、間に少し高木植栽を挟んで南半分が大きな広場という構造なのですが、その南側が鬼一色。もちろん野球場が鬼だらけだと困るのですが、そういうことではなくとにかく鬼なのです。
遊具のタイプとしてはコンクリート製複合遊具と呼ぶべきものですが、鬼の頭が空洞のトンネル遊具に、後ろ頭は滑り台に、右手の打出の小槌はラダートンネルに繋がり、左手はよじ登って遊ぶようになっています。
頭部の空洞には、耳や口から出入りができます。けっして「鬼なんか力ばっかりで、頭の中は空っぽだ」と揶揄しているわけではないと思います。
後頭部は滑り台なのですが、螺髪を表現したぶつぶつの岩に掴まってよじ登らないとたどり着けない構造は、No.1930 天井川公園の大ガマにも似た発想があります。
後頭部から背中にかけての大滑り台。よく使い込まれていますが、表面はツルツルで現役バリバリです。
両肩も小滑り台になっていて、頭のてっぺんまでは登りきれない小さな子でも滑り台遊びができるようになっています。
小槌は3方向に穴が空いているので登ったり降りたりして遊べますし、人が少ないときなら、小槌の中に座り込んで秘密基地状態にできるかも知れません。
小槌の前にある金色のものは、大判小判がザックザクと積み上がっているのでしょうか。
そして打出の小槌からビヨーンと伸びるラダートンネル。小槌の中を通って、鬼の頭まで繋がっています。
ところで皆さんお気づきだと思いますが、鬼の周りには白いテルテル坊主かペッパーくんみたいな連中がうろうろしています。
頭に角のようなものが生えてはいますが、お椀の舟から出てきているところを見ると、どうやらチョンマゲ姿の一寸法師のようです。
鬼のまわりに数え切れないくらい跳び回っています。
鬼にとっては一寸法師は素早すぎて、一人が何人にも見えてしまっている状態、いわゆる分身の術ではないかと思います。
とは言ったものの、鬼の凝った造形に比べて、一寸法師はやや手を抜いているような気がするとかしないとか...
一寸法師の襲来に鬼の大将が苦戦しているというのに、金棒持ちの手下たちは離れたところでボンヤリしています。
はやく金棒を大将に届けないと!と思い続けて何十年。でも、いざ一寸法師の超絶技を目の当たりにすると、足がすくんで一歩も動けません。
青鬼、マンガ家ならこちらがお兄さん。代表作は『名たんていカゲマン』
双子の弟が赤鬼、代表作は『よたろうくん』や『かばどんとなおみちゃん』などです。
でもそうなると、鬼の大将は田河水泡先生ってことになってしまいます。
何を書いているんだかわからなくなってしまいましたが、それだけ鬼のインパクトが凄すぎて、ブログ作者も変になっているのだとご理解ください。
...少し気を確かに持って、ほかの園内も見に行きましょう。
まずは、和歌山市街地ではおなじみの、幼児プールです。
No.2972 岡東公園、No.2973 南片原公園などとほぼ同型なのですが、両公園にはなかったクジラの滑り台が追加されています。
せめてこれくらいはないと、鬼の遊具に負けて子供たちが遊びに来てくれないからでしょうか。
と、ここまでは凝ったオリジナル遊具ばかり見てきたので、標準品の登り棒や揺れる動物遊具がいささか力不足に見えてしまうのは、両者にとっては気の毒です。
鬼のいない野球場の方も見ておきましょう。
道路ギリギリまで使って少年野球場というサイズなのですが、バックネットや審判室などもあって、設備的にはまぁまぁ揃っています。
野球場の外野フェンスの周りには、学校用の机や椅子がたくさん置かれています。隣の小学校から古いものを貰ってきたのでしょうか。
机・椅子の配置からして、少年野球を見物しながら囲碁将棋を嗜むのが新南公園のスタイルなのではないかと読み解きます。
こちらの苔むした東屋にも机・椅子が投入されています。
大きな缶は、灰皿代わりでしょうか。
こういうリユース品の持ち込みは良いことのようにも思われるのですが、実際は最終処分の責任が不明確になってしまいがちです。ここでも公園の一角に使わなくなった椅子・机が山積みになっていました。
これを処分するのもタダではないし、かといって囲碁将棋を楽しんでいた人たちが費用負担をするわけではないし、どうしたものだかという状態です。
とまぁ色々あるのですが、とにもかくにも鬼に尽きる美園公園でした(昨日のNo.2976と同じような結びになってしまいました)。
(2021年12月訪問)
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