阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた淡路島の富島(としま)地区では、震災復興土地区画整理事業の中で小公園とポケットパークあわせて20ヵ所の公園が整備されました。
そのうちの大歳公園。
大歳神社の隣にある小公園ですが、平地だけでなく丘の上まで敷地は続いており、周囲の地形を取り込んだ複雑な形になっています。
まずこちらが大歳神社。上写真では見切れていますが、右手の大きな樹があるあたりに当たります。
現地解説板で「以前の境内地は430坪」と書かれているのですが、いまの境内地も同じくらいの広さはあるので、震災後に新たに公園整備を行なう際に用地交換などがあったことを記録に残す意味で書かれているのかも、などと考えてみます。
■現地の解説板より「大歳神社」
御祭神:大歳神、大市姫神、須佐之男神、倉稲魂神
創立:鎌倉時代年月日不詳
以前の境内地は430坪、氏子崇敬者は800戸、八幡神社の氏子に同じとされ、例祭は10月9日がくり祭り、12月9日はみかん祭りとも言われ、奉斎大歳神神符の頒布始奉告祭が執り行われている。
境内地がどこまでという話はさておき、社殿の横手には忠魂碑も建てられているので、地区で古くから親しまれてきたお社であることは間違いないと思います。
「くり祭り」「みかん祭り」もなんだか楽しそうですね。
このお社の参道からヒョイッと左を見ると、そこが大歳公園。
狛犬の横から園内に入ると、左手はデッキテラスの横に足つぼ歩道、右手には斜面地を利用した滑り台などがあります。
まずはデッキテラス。神社と公園との20~30センチほどの高低差を使って作られています。
ここに木陰のベンチやスツールなどが並べられて、ちょっとした休憩スペースとなっています。
デッキ上のベンチに使われているのは、淡路島特産のいぶし瓦でしょうか。
デッキから広場を挟んで反対側には、屋根付きの休憩スペースもあり、その横には敷地の高低差を利用した滑り台があります。
園内で、ハッキリと遊具の形をしているのは滑り台と、このウマ、あるいはキリンのような登攀遊具だけです。
ただ、休憩所の横手から階段を登ったガケの中段あたり井戸ポンプがあるのですが、防災用で水を運ぶ場所としてはまったくもって無理があるので、遊び用のものだと推察されます。
ここから溝が作ってあって、崖下の方へと流れていきます。
もっとも、溝に沿って歩きやすくなっているわけでもなく、水を流したら、上から流れていくのを眺めるだけの不思議な構造です。こういうのって、葉っぱとかを流してワーッと横から追いかけていく遊びが楽しいのだと思うのですが...
でも20メートルほど流れていった先の落とし口はしっかり作ってあるので、常に2人1組で上でポンプを押す人、下で水を受ける人、と手分けをして水を汲むことが決まっているのかも知れません。
そしてこのガケには細い園路が通っており、崖上に出ることができます。
そこにもデッキテラスが設けてあり、集落越しに海を眺めることができる第三の休憩スペースとなっています。
ちょっと角度を変えて園内を見下ろすと、こんな感じに見えます。
このように崖上まで登れるようにした構造は、単に眺望のことを考えただけではなく、津波も含め、災害時の避難路が山に突き当たって行き止まりにならないように配慮したものではないかと思います。
大歳神社の隣の大歳公園でした。
(2021年9月訪問)
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