伊計島(いけいじま)は勝連半島の北東約11km、半島から橋で繋がる島々の中では一番遠い位置にあります。リゾートホテルなどもあるものの、集落としては島南部の伊計集落ひとつだけの小さな島です。
伊計集落には漁港があり、また集落以外の平坦地はほとんどがサトウキビや葉タバコの畑地になっているので、半農半漁という言葉がぴったりの島でもあります。
そんなわけで、この公園は伊計集落の海のそばにあるのに、制度的には農村公園として開かれています。
園名板には「農村公園 伊計公園 平成元年2月1日竣工」と書かれているのですが、こういうのって大事なところから消えていくのは何とかならないものでしょうか。
敷地は海に向かって細長く、途中に細道が入って二分されています。こちらから見て手前側がトイレや休憩所のある園地、奥の方が戦没者慰霊塔のある園地になっています。
休憩所の周りのフレームを見ると、テント生地の屋根が付けられるようにも見えるのですが、とりあえず訪れた時は燦々と降り注ぐ太陽の下でした。ちょっとこのままでは、どれだけ椅子があっても座っておられず、みんな木陰の方に行ってしまうように思います。
そして細道を渡って慰霊碑のある園地。
おそらく、ここが農村公園として整備される以前からあったと思われる慰霊碑を軸の中心において空間が形作られています。
海と空を背景に建つ慰霊塔には「伊計勇士之塔」と刻まれています。
勇士之塔の横手を通り過ぎて公園から海岸の方に出ると、そこに「ウスメーハーメー」という一対の石像があります。
風化が激しいのか、あるいは元からそれほど凝った造りではなかったのか、どちらも「ちょっと変わった形の石」くらいの感じに見えてしまいますが、ウスメー・ハーメーはお爺さん・お婆さんという意味なので、背の高い方がウスメー、もう片方がハーメーなのでしょう。
海の方からやってくる悪いものが村に入らないように守っているのだろうと思います。
さらにもう20メートルほど進むと、海から引き上げられたという伝承のある石獅子も村を守っています。
これもまぁ、知っているし台座があるからそれだとわかりますが、黙って見せられたら石獅子だとは思わないくらいの形になっています。
いろいろなものに見守られている伊計公園でした。
(2021年7月訪問)
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