2864/1000 宮城中央公園(沖縄県うるま市)

2021/10/24

うるま市 沖縄県 擬木の世界 社寺御嶽 身近な公園 展望台 日時計

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宮城島(ミヤギジマ)は、古くは高離(タカハナリ)とも呼ばれ、標高100メートル前後の高台が広がる島です。

その中でも、宮城(ミヤギ;方言ならナーグシク)地区は小学校、中学校などがあった島の中心的な集落ですが、海岸からははやや離れた高台で起伏が激しい地形が時代とともに敬遠されているのでしょうか、現在は空き地、空き家が目立つ状態となり、学校も統廃合でなくなってしまいました。

そんな宮城地区の中でもひときわ高い場所に拝所である宮城御殿(ナーグスクウドゥン)があり、その隣に児童館兼公民館、そして宮城中央公園があります。

公園や児童館がある一帯は、もともとから宮城御殿を始めとする村の重要空間として維持されてきた場所のようなので、そのあたりから順番に巡っていきます。

まずこちらが、公園からは児童館を挟んで反対側にある宮城御殿。
現地の解説板によれば、建物は2005年(平成17年)に改築されたものだということで、コンクリート造のしっかりしたものになっていますが、由来記によれば元々は浜辺に流れ着いた大木で神殿を建てたのが始まりだとか。

■現地の解説板より「宮城御殿(ナーグスクウドゥン)」
うるま市指定文化財第18号(有形民俗文化財)
指定年月日:1995年(平成7年)6月14日
宮城御殿は、通称カミヤグヮーとよばれていますが、「観音堂」ともいわれています。一説には北山系の按司を祀っているともいわれています。
昔、泊グスク近くのトゥマイ浜に大木が寄ってくることを知った村人が、総出で大木を引き上げようとしましたが動きませんでした。
神のお告げを聞いた喜屋原ユタハーメーが、「神女の仲泊ハーメーが音頭をとらないと動かない」と言うので、仲泊ハーメーが大木に乗って音頭をとると、不思議にも簡単に陸揚げすることができました。
村人はこの大木で、現在地に神殿を造り、宮城区民の守護神として信仰してきました。特に幼児の健康・発育にご利益があるとされ、旧1月18日には「ウクヮンニンウガミ」(御観音拝み)が行われ、島内外から参拝者が訪れます。
神殿は、1962年(昭和37年)と2005年(平成17年)に改築されました。
設置:うるま市教育委員会

解説板にある由来記が、地域の子供たちが描いた絵物語となって飾られていました。

下は大木が浜辺に流れ着いた場面。大木の横の白い服の人は、神女の仲泊ハーメーでしょうか。ちなみに「ハーメー」は、お婆さんという意味です。

御殿の横手にも少しスペースがあって、そこは数年前に開催されたアートイベントの名残の展示場として、鳥に餌を与えている宇宙人、

ネコをお腹に乗せて寝っ転がっている人が十二支の動物に囲まれている日時計、

村落獅子(石獅子)などが飾られていました。

さて再び児童館の前を通って公園に向かいますが、公園の入口にも大きな鳥居が設置されています。

うるま市発行の『宮城島の民話・伝説』というガイドマップを見ると、ちょうどこのあたりに「地頭門」と書かれているのですが、この鳥居が地頭門なのかはわかりません。そもそも地頭門が何なのかがわかっていないので、仕方がないのですが。

歩を進めて園内に入ると、まず平坦な広場があって、奥のほうが少し盛り上がった地形になっています。盛り上がったところの先はけっこう急に落ち込む崖地になっています。
ガイドマップには、広場部分はスンチナー、少し高くなっているところはスンチバンタだと書かれています。

現地の解説板によれば、「スンチナーはナーグスクの神聖な場所です。ウマチーなどの斎場、村遊びのアシビナーとして利用されます。モーアシビのスンチバンタは北側のがけ上にありました。」と書かれていました。

ウマチーは「お祭り」、ナーは「庭」の漢字を充てることもある広場空間、モーアシビは毛遊びで歌垣のような集落の集まり、バンタは崖地形、とだいたい分かるのですが、肝心の「スンチ」の意味がわかりません。
また図書館で調べることが増えてしまった...

そのまま広場の先へ進むと、スンチバンタの崖の上に、コンクリート擬木造の展望台がありました。

階段の途中には、南西諸島に生息する国内最大級のクモ・オオジョロウグモがたくさん巣を張っていました。
巣が風で揺れるため写真のピントがうまくあわないのですが、足を広げた大きさは大人の手のひらよりも大きく、その分だけ巣も大きく頑丈です。10年ほど前には、小鳥やコウモリを捕食する姿が撮影されて、地元紙で話題になりました。

そんな頑丈な巣に絡まるのも嫌なので、なんとか上手に避けて展望台上に向かいます。

オオジョロウグモの妨害を乗り越えてたどり着いた展望台は、黄色いベンチが置かれただけのシンプルなもの。東を眺めれば太平洋。

北を眺めると、手前には海沿いの池味(いけみ)集落、その向こうには平坦な伊計島、ずっと向こうの方には金武湾越しに本島の山なみが望めます。

そして西を望めば宮城集落。
海岸沿いから歩いて上がってきた時は、もっと丘の上にある集落のように感じましたが、こうして眺めると強い風を避けられる山懐に集落が立地していることがわかります。

展望台を下りて、再び園内。児童館に近いところに、遊具がまとまって設置されています。
でもコンクリート擬木製の複合遊具は、周りにロープが張られて使用停止中。No.2862 平安座西公園でも同じような措置になっていたので、もう間もなくこのタイプの遊具が付近から一斉に撤去されてしまうのではないかと思います。

滑り台から繋がっているターザンロープ遊具も使用停止中。

コンクリート列柱の飛び石遊具はとくに危険はないように思うのですが、ここもロープが張られて使用停止になっていました。

この遊具コーナーの横手に、もうひとつ展望休憩所を見つけましたが、こちらは周りの樹々がよく育っていて、園内側にしか眺めることができませんでした。

こうなってくると、有効に使える施設はオオジョロウグモがいた展望台くらいしかないので、徐々にむかしのスンチバンタ時代のような使い方に還っていくのかな、という気がした宮城中央公園でした。

(2021年7月訪問)

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