有隣公園は、No.1375 五条公園から西へ300メートルほど離れたところにある小公園です。
No.1833 稚松公園など京都市街地の古い公園の例のとおり、元々は市立有隣小学校とセットで設置された公園だったのですが、小学校は統廃合により廃校、公園の方は2017年(平成29年)度に再整備工事が実施されて現在の姿になっています。
当時(補筆:明治16年の小学校名改称時)の京都府知事である北垣国道氏により、「論語」里仁編の「徳は弧ならず、必ず隣有り(徳不弧必有隣)」から命名されました。これは、「徳のある人は孤立することなく、必ずそれに賛同する人が集まる」という意味です。
だそうです。
そんなふうに皆が集まる有隣公園ですが、いかにも最近の市街地の公園の再整備らしく、大きく育っていたはずの樹木はほとんど伐採されて、高木といえば新しく植え直したものばかりの、非常にスッキリした外観の公園となっています。
大きく育ちすぎた樹を管理しきれないという事情はよくわかるのですが、木陰が少なくなると殺風景さを感じてしまうのも事実で、もうちょっと中間あたりで落ち着かせることはできないものかと、いつも思います。
再整備にあたって導入された遊具は、コンクリート製の滑り台が当たり前のはずの京都市では珍しい樹脂製の滑り部を持つ滑り台。
シルバーメタリックが美しい2連ブランコ。
砂場の隣には、蒸気機関車とスクーターの揺れる乗り物遊具もあります。
乗り物遊具の後ろに見えていたのは、防災用の井戸。普段から遊びに使わせると故障しがちだという事情はわかりますが、フェンスで囲みすぎていて、ちょっと物々しい感じがします。
でもここは京都なので、夜中になるとイドがモノノケになって御所か羅生門かで大騒ぎするのを防いでいるのかも知れません。
ほかに災害対応型のトイレやかまどベンチも導入されており、防災機能が考慮されたことがわかります。
防災機能と言えば、公園と旧・有隣小学校とにくっついて、地元の消防団の建物もあります。
実際の運用を考えれば、いちいち資機材を運ぶのも大変なので、公園内の防災施設をもう少しこの建物に近い場所に設置するほうが良いと思うのですが、日頃の使い勝手等々のいろいろな理由で公園の真ん中に置くことになったのでしょうか。
公園と旧小学校との間には門扉があり、いちおう公園と学校とがつながる構造は残してありますが、建物の用途が公立小学校ではなくなっているので、実際に使われる機会はほぼないことでしょう。
ちなみに、校舎は京都国際フランス学園というインターナショナル・スクールが使っているようです。以前に訪ねたNo.127 柳北公園の隣の旧・柳北小学校の校舎を使っていた東京国際フランス学園と同じ系列の学校なのでしょうか?
外周柵も全部作り変えられているのですが、お地蔵様の祠のある部分だけは上手に切りはずすことができなかったようで、古い石積みとコンクリートの壁が、ここにだけ残されていました。
改修前の名残は、ここくらいではないかと思います。
色々と新しくなって、これからまた地域とともに新しい時間を積み重ねて行く有隣公園でした。
(2021年5月訪問)
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