2734/1000 大川西公園(沖縄県金武町)

2021/05/14

沖縄県 金武町 親水公園 身近な公園 湧水

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ウッカガー(金武大川)は金武町並里区の真ん中に位置している共同井泉で、長らく飲料水としても使われて、地域の方々には欠かせない湧水でした。
今も豊富な水量を誇り、水場も美しく整備されて、とても大切にされている様子が伝わってきます。

町の文化財に指定されているので、詳しい解説板が建てられています。


■現地の解説板より「ウッカガー(金武大川)」
金武町指定文化財/種別:記念物/指定:平成4年5月7日/所在地:金武町字金武919番地
ウッカガー(金武大川)は並里区の中央に位置し琉球石灰岩の多孔質を基盤とした地下水の湧き出た代表的な井泉で、県下に知られた井泉である。「大正13年に衛生上の見地から金武並里両区で経費を負担し1月に竣工」コンクリートで用途別に区切り泉口の垠を飲料水、近くに男女別の水浴場を設け道路下方は洗濯場、芋洗場として構築された。66年経過した井泉は水漏れなどにより平成2年3月改修され現在に至る。
上水道が普及する以前は金武並里住民の飲料水であり元旦の若水を汲み、夏には水浴を楽しみ、また地域住民の出会いの場であった。
井泉はかんばつ時に渇水せずその豊富な湧水量は1日千トンを越え、余水は武田原に注ぎ稲、水芋の産地形成している。生活様式や地域社会の変化にともない幾度か改修を重ねながら「長命の泉」を象徴するように湧き出る清水の井泉は、先人より継承された文化遺産である。
金武町教育委員会

近くで見ると、覆屋の下はずっと琉球石灰岩の崖地になっており、そのあちこちから清らかな水が豊富に湧き出ています。
一段高いところにある貯水池に貯めた後に、いくつもある樋口から水が落ち続けているので、目で見て、音を聞いて、手で触れて楽しむことができます。あとは実際に飲めればベストなのですが、現地には「そのまま飲んじゃダメ」と小さく貼り紙がされていました。

とにかく湧出量の多さが印象に残るのですが、どのくらいの範囲の水が集まってきているのでしょうか。
金武町は町域の60%が米軍基地に占められており、とくに山のほうが海兵隊の実弾演習地を含むキャンプ・ハンセンになっていて近づけないのですが、そちらの方にまで集水域は広がっているのかも知れません。

でもよく見るとパイプが敷設してあって、単に岩から出てきた水をかけ流しているだけではなく、なにかしらの給排水も行われているようです。
よくはわかりませんが、ここの水を汲んでどこかに送っているようにも思います。

水場が集落発達の基礎となるのは世界共通だと思いますが、沖縄ではさらにそれが村の御嶽(聖地)として守られるのが特徴です。
ということで、湧水池の東側には拝所があります。

鉄パイプ製の鳥居は昭和中頃くらいのものではないかと思いますが、ガジュマルに取り込まれて徐々に自然に還りつつありました。

さて、このウッカガーを含む背後の森が大川西公園になっています。
周囲には並里区事務所(地区公民館)や農協の出張所などもあって、地区の中心地としての地位を保ち続けている様子が見て取れます。

ウッカガーの真北は森になっていますが、西の方は緩やかな斜面地を使った広場になっています。

周囲の道路からフラットに出入りできる場所もあるのですが、なぜか大きなスロープもあります。

斜面地よりもう一段上に、全面が平坦な小広場もあるのですが、逆にこちらは周囲の道路との高低差があって、園内にスッと入りにくくなっています。地形の起伏が多い場所ならではの空間構成と言えましょうか。

広場、園路以外には目立った施設もなく、あくまでウッカガーが主役の大川西公園でした。

(2021年3月訪問)

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