万代池公園は、大阪市住吉区にある万代池と周囲とを公園にしたもので、公園名は「まんだい」と読みますが、周囲の町名は「ばんだい」です。
住吉区役所のHPには、『大阪市制100周年記念熊野街道 住吉史跡めぐり』からの引用として、次のように書かれています。
桜の名所公園と知られ、上町台地の侵食谷をせき止めてつくられたものだといわれている。昔、この池に不思議な魔物が阿倍野街道を往来する人々を悩ましていた。そこで聖徳太子が人を遣わし、曼陀羅経をあげさせると、魔物が出なくなったという。その後この池を曼陀羅池といい、なまって万代池(まんだいいけ)と呼ぶようになった。
この説に従えば、「まんだら」が訛って「まんだい」になり、それに「万代」という字を当てたら読み方が漢字に引っ張られて「ばんだい」に変わっていったという経過かと読み取れます。
それにしても、聖徳太子本人ならともかく、遣わされた人に退治された魔物はちょっと気の毒です。
戦前には共楽園という遊園地が設けられて賑わったそうですが、現在の公園としての姿は、池の周りを一周700~800メートルくらいの園路が巡り、池の北側に2ヵ所に分かれて小広場が配置されています。
広場以外の部分の公園の幅は結構狭く、池から10メートルもないくらいです。
池には中之島が3つあり、そのうちの1つには両岸から橋が架かって渡れるようになっています。
渡れる島に祀られているのは古池龍王。どんな神様なのかはよく知りませんが、聖徳太子(に派遣された人)に退治された魔物か、はたまた池の守り神か。
橋の上から池を眺めると、水は濁ってかなり富栄養化が進んでいる雰囲気です。少なくとも開渠で池に流れ込む河川は見当たらないので、雨水や地下水で細々と水が溜まる状態では有機物の堆積スピードが勝ってしまうようです。
訪ねたは春先だったので、水面に見えるアカミミガメやコイたちは暖かさを求めてきているだけですが、暑い夏になると酸素不足で浮かんでこないか心配です。
池の北東側は、遊具のある広場になっています。幼稚園にも隣接していて、訪れた時はたくさんの子供たちで溢れていたため写真は遠目からの1枚だけで。
この一角が園内で一番広い平場だということもあって、忠魂碑や耕地整理の記念碑など年代物の石碑が集まっています。
もっとも「さすがに八紘一宇の碑は、もういらないんじゃないかなぁ」とも思うのですが、いちど置いたものを無くすには、置く時よりもずっと労力を要するので、なかなか大変です。
ほかの利用者が多く、アイテムのわりには写真が少なめになった万代池公園でした。
(2021年4月訪問)
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