ナカヌカーは、沖縄の言葉で「中の井戸(カー)」のことです。
南風原町喜屋武にあるナカヌカー公園は、その名のとおり、かつては喜屋武集落共有の井戸と池があった場所だということですが、今は埋め立てられて姿はありません。
またナカヌカーがあるくらいなので、近くにウエヌカーやシムヌカーもあると思うのですが、詳しいことは知りません。
■現地の解説板より「中の井(ナカヌカー)」
1928年(昭和3)、ここに中の井と池が掘られ、その記念として、大遊びが盛大に催されました。
中の井は、飲料水や洗濯の場として利用し、池では野良仕事のあと、芋や野菜を洗ったり、馬などを浴びせました。夕方になると、とんぼが飛び交い、子ども達の笑い声が絶えませんでした。
中の井の側にあった鉄棒や、サシ石などのまわりには人々が集まり、中毛小とともに区民の憩いの場でした。
1962年(昭和37)、水道等の普及によりに、中の井と池は埋め立てられ整地されました。
はっきりと池や井戸の跡を残すものはないのですが、敷地の一角にある拝所は、それなのではないかと思います。
広場を大きく取って、外周部に滑り台、ブランコ、バスケットゴールなどの遊具があります。
昔あったという鉄棒やサシ石はありませんが、現代的に力や技を比べて遊ぶことができるようになっています。
しかし、この公園にはこれら遊具以外に、手作り感あふれるアスレチックがありました。
その使用に際しての注意書きがこちら。体重制限が45kgまでということは、おおむね中学生以上は禁止ということですね。
それはそれで、小学生に「自分の責任で遊ぼう」というのは厳しいようにも思います。
■現地の掲示より「こどもたちへちゅうい」1)アスレチックであそぶときはじぶんのせきにんであそびましょう2)アスレチックはたいじゅうが45キロのひとはあぶないです。3)おかしやのみもののゴミはじぶんのいえにもってかえりましょう。
で、そのアスレチックは、基本的には何本もの縄ばしごで木々の間を渡り歩くというものです。
この縦方向の縄ばしごを使って樹に登り、
横方向に渡された縄ばしごで隣の樹に渡ったり、ブランコで遊んだりができます。
当然ながら、幹にしがみついて木登りをしても構わないわけです。
雨で濡れていると危ないので、よく晴れた日に遊ぶほうが良いですね。
そして、このナカヌカーから道一本だけ挟んだ小高いところが中毛小(ナカモーグワー)。「村の中ほどにある小さい広場」くらいの意味でしょうか。
ここに何本かのガジュマルが生えていて、南風原町の天然記念物になっています。
■現地の解説板より「中毛小のガジュマル群」南風原町指定天然記念物 平成2年6月27日指定ガジュマルは5本あって四方に枝を広げている。根は互いに網目状にからみついて土手をおおっている。
最大なもので樹高は9.2m、胸高周囲は3.7m。樹皮は凹凸が著しく、地衣やコケ類が着生し、古木であることを証明している。
枝の広がりは全体で19×19.5mの広さに達し、古来から憩いの場としての緑陰樹となっている。平成3年2月20日 南風原町教育委員会
実際の枝の広がりは、解説板に書かれているほども大きくはありません。
金属製の支え棒が立てられているので、もしかすると解説板が建てられた時よりも樹勢が衰えているのかも知れません。
たまたた通りがかった集落内で、歴史にふれたナカヌカー公園でした。
(2020年12月訪問)
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