2687/1000 西神中央公園(神戸市西区)

2021/03/17

神戸市西区 身近な公園 兵庫県

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神戸市西区は1982年(昭和57年)に垂水区からの分区で誕生した神戸市では最も新しい区です。その後のニュータウン開発や区画整理事業によって人口は増加し、今は神戸市でもっとも人口が多い区になっています。
そんな西区の中心が西神中央駅、その駅から200~300メートルほど離れたところにあるのが西神中央公園です。

面積は約16ヘクタールあり、中央に南北方向の丘陵を残し、東、西に大きな広場・園地を取っています。
丘陵部分は「野鳥の森」と名付けられて自然環境面から重要なものですが、古墳時代の集落跡の遺跡でもあり、西神ニュータウンNo.66・77遺跡と名付けられています。

ニュータウン整備に伴う遺跡分布調査では、ここ以外にも多数の集落跡や古墳などが見つかっており、西神ニュータウンは遺跡の宝庫だとも言えます。このため、西神中央公園内には、神戸市の埋蔵文化財センターも設置されています。
入場は無料ですが、その割には展示物が多いので、じっくりと見学できます。

館内に入らなくとも、高塚山1号墳の石室、岡本梅林古墳出土石棺などが屋外展示されています。

そういう特徴的な施設を持つ公園なので、ほかの箇所にも市内から出土した遺跡・遺物のイメージを取り入れたモニュメントが芝生広場に置かれています。

例えば、銅鐸は灘区桜ヶ丘からの出土品、

朝顔形埴輪は垂水区五色塚古墳、

人物、馬、建物などを象った形象埴輪は、東灘区の住吉東古墳からの出土品をモデルにしていると思われます。

中でも、捧げものを持った巫女型埴輪は人気者で、同じものが何箇所かに設置されていました。
赤いマフラーを付けられて、お地蔵さん状態ですが。

芝生広場の中の同じ並びにあるのですが、これは現代の彫刻作品。奥野誠『生の生成』と題されています。

一方、よくわからないのが、丘の東側の「のびのび広場」付近にある金属製のモニュメント。
今までの流れでパッと見ると甕棺墓のようにも見えるのですが、それにしては現代的すぎる外観です。

樹々の下に並んでいるので「ドングリ?」とも考えたのですが、本当のところはわかりません。

【2021年4月追記】ドングリのようなモニュメントについて、近くにお住まいのヒロボー様から情報を頂戴しました。
それによると作者は西雅秋さん、作品名は ” innocence” だそうです。
もう少し調べてみると、西雅秋さんは1946年生まれの現代彫刻家で、金属製の作品が腐食していくことで時間の経過をも表現するような作風で活動しておられるとのこと。 ” innocence” は連作名で、同じ名前の作品がいくつかあるようです。
氏は1992年に当時、神戸市の須磨離宮公園でビエンナーレ方式で開かれていた現代彫刻展で受賞しています。神戸市では、この彫刻展の受賞者の作品が市内各所に展示されているので、その流れでここに展示されたものと思われます。
ヒロボー様、貴重な情報ありがとうございました。


このモニュメントがある「のびのび広場」は、幅50メートル、長さ300メートルほどにわたって続く緩斜面の芝生広場で、なかなか大胆な空間構成です。

それとは違う意味で大胆なのが、丘の北側から湧き出て、のびのび広場よりも長い距離を流れて行く大きな(元)流れです。(元)と書いたのは、訪れた時はまったく水が流れておらず、それも何年もそのままといった風に見えたからです。
流れの出だしは、「上の池」と名付けられた池で、ざっくり2,000平米以上はある大きな池ですが、ご覧のようにカラカラ。池底には芝草も生え始めています。

池の中でも一番の最上流には、吐水口らしい石組みがありましたので、本来はここから大きな池を満たし、流れを潤すだけの大量の水が出ていたものと思われます。
水源についてはよくわからないのですが、ちょうど公園の真下を地下鉄が通っているので、トンネルから出る地下水を汲み上げていたのかも知れません。

最近は節電・節水が当たり前の時代なので、20~30年前に作られた公園の噴水や人工の流れが止められていることも多いのですが、この公園の池・流れはとにかく大きいので、あるべきところに水がないことがよく目立ちます。

飛び石の周りもカラカラ、

滝や壁泉と浅瀬、階段とを組み合わせて水遊び場になっているところもカラカラ、

林間広場と浅瀬を組み合わせた一角もカラカラ、

立派な石造アーチ橋の下もカラカラ、

森に囲まれた渓流風に仕上げたエリアもカラカラ、という具合です。

400メートル以上に渡ってカラカラの(元)流れが続いた後に、やっと下の池の水が見えてきました。

おそらく、下の池は公園の中でも最も低い谷底にあたるため、人工的に給水し続けなくとも、一定量の水が集まってくるのではないかと思います。

昔の公園計画・設計のことを今の目線で色々言っても始まらないのですが、電気の力で水を汲み上げて流す仕組みとしては、このサイズは過剰に大きすぎるように思います。
いつから水が流れていないのかはわかりませんが、池も水路も植物に覆われ始めており、徐々に遺跡に近づいてきています。

大きすぎると言えば、西神中央駅と繋がる歩道橋の受けにあたるデッキ広場も、かなり大きいですね。まず3階建てのお城のようなものをつくり、その屋上部分を広場にしています。

地上に用地が無いのならともかく、広い公園の一角としては今ひとつピンとこない広さのデッキです。普通に歩道橋としてデザインしても良かったような気がします。

しかも聞くところによれば、お城のように見えるベース部分は建物ではなく、中は土が詰まっているだけの土木構造物らしいのです。それでいて窓や扉のようなものがあったり、あちこちが傷んで「危険・立入禁止」措置が取られているために、より一層のピンとこなさが募ります。

最後になりましたが、丘の西側にあたるスポーツ広場。
埋文センターの横から眺めると、広場のずっと奥の方に大型遊具が見えます。

周りの広場が大きいのでわかりにくいですが、近づいてみると、かなり大きいですね。3階建ての高さがある滑り台を中心に、大小いくつもの滑り台がデッキ遊具で繋がれています。

小さい滑り台も、直線、ウェーブ、スパイラル、ダブルと各種揃っています。

周りには、揺れる乗物遊具なども配置されていて、小学生から幼児まで幅広く遊べるようになっています。

と、広くて色々な顔があり、また分からないことや謎物件も多いのですが、緑は深く、見るべきものの多い西神中央公園でした。

(2020年8月訪問)

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