2246/1000　赤崎公園（岩手県大船渡市）-日本1000公園

大船渡市の赤崎地区は、大船渡湾の東側に位置しており、東日本大震災では津波被害が大きかった地区です。

岩手県がまとめた『岩手県東日本大震災津波の記録』には、次のように書かれています。

「（大船渡市で）家屋の被災割合がもっとも大きかったのは、大船渡湾をはさんで大船渡町の対岸に位置する赤崎町である。臨海部の埋立地が工業地となっているほか、学校等の公共施設も立地し、山側には住宅地が形成されていたが、最大浸水深13.0メートルの津波が押し寄せ、地区全体戸数の45.5%にあたる650戸が被災、死者・行方不明者58人を出した。」

そんな赤崎町の海岸から100メートルほど離れた丘の上にあるのが赤崎公園です。

海との距離感、高さ感は、これくらい。
戦国時代までは、新沼美作守という葛西氏の家臣が治めていた赤崎城があった場所でもあるそうです。

そんな海近くの海抜10メートルほどの丘の上に、草敷きの広場を広く取り、その外周にブランコや滑り台などの遊具が少しだけ置かれているという広場型の公園です。
また、地区公民館（漁村センター）という施設と一体的に整備・運用されている公園でもあります。

上の写真、下の写真、どちらにも遊具が写っているのですが、広場が大きいので、近くまで行かないとわからないくらいです。

こちらが上の写真に写っていたブランコ、シーソー。

こちらが下の写真に写っていた滑り台です。

しかし、この公園を特徴づけているのは、もともとから津波避難を強く意識して整備されたと思われることです。というのも、公園の一角に、1896年（明治29年）の明治三陸地震、1933年（昭和8年）の昭和三陸津波の教訓を伝える津波記念碑が残されているのです。
この記念碑は、昭和三陸津波に際して寄せられた義捐金の残額を活かして赤崎村内にいくつか建てられたものの一つだそうです。

教訓として「地震があったら津波の用心　津波が来たら高いところへ」と刻まれています。
ただ、1960年（昭和35年）のチリ地震津波のように、地球の反対側が揺れても津波が襲ってくることもあるので、現代的には「地震がなくても津波の用心　津波注意報（警報、大津波警報含む）が出たら高いところへ」と置き換えたほうが良いかも知れません。

とは言え、碑には明治の津波では溺死者457名、昭和の津波では81名と刻まれていますが、平成の津波は死者・行方不明者58名だったわけですから、数字の上では教訓の効果が現れていると言えるでしょう。

実際、東日本大震災の際には、ブランコの後ろにあった地区公民館（漁村センター）の2階の屋上にまで避難して、津波を逃れた人がいらっしゃったそうです。
周りよりも高い場所に、さらに建物を建てて屋上を確保した効果が出ています。

そして、この建物の玄関横に、以前訪れたときにはなかった「報恩謝徳像」が建てられていました。東日本大震災後の支援と人の縁に感謝するためのものだそうです。

■現地の石碑より「報恩謝徳像について」
平成23年3月11日、東日本大震災の悲惨な状況を知った神戸大学大学院の松岡広路教授とその学生達が震災後、毎月11日に街頭や大学構内で、11えん募金活動を開始、9月より趣旨に賛同した群馬県の上武大学も募金を開始し、募金の全額を寄付して頂きました。
この貴重な絆を後世忘れないため、又多数の支援して頂いた皆様の恩に報い、復興への誓いを表す為にこの地に報恩謝徳像を設置することにし、赤崎地区公民館、八坂神社総代会、赤崎小網組合、(株)ヤマエ様等の協力を得て建立しました。
報恩謝徳とは、御恩を受けたことに感謝し、恩に報いるため一生懸命復興に頑張りますという意味です。

平成24年3月11日　赤崎地区公民館

碑文にもあるように、地域の方々も一生懸命復興に頑張っておられるとは思いますが、公園の周りには空地も多く、まだまだ道半ばといったところ。