2232/1000 苔谷公園(神戸市垂水区)

2019/09/22

神戸市垂水区 身近な公園 日時計 兵庫県

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山陽・舞子公園駅の北側、町名では舞子台の一角に、台地が海岸の方に向かって落ち込んでいく斜面地を使った苔谷(こけたに)公園があります。

公園としての開設は1959年(昭和34)とまぁまぁ古いのですが、当初はその名のとおり苔生すような西向きの谷を使った公園でした。しかし、公園のすぐ隣に明石海峡大橋が通ることになったため、1990年代終わり~2000年代初頭くらいに大改修され、また橋に繋がるトンネルの上部にも公園が拡張されて、現在のような姿になりました。

現在は尾根の上部、かつては「峠」や「松が丘」と呼ばれていたあたりも含んでいるため、「なんで谷なん?」と思われがちですが、まぁそういうことのようです。

全体約4.0ヘクタールが一般道で区切られて大きく3ブロックに分かれているのですが、まずは元祖・苔谷公園の部分から。

一般道から分かれ、このような急な坂道園路をドンドン下っていきます。

実際には一本道ではなく、斜面林の中を縫うように枝分かれしているのですが、高低差にして20mくらいずっと下りていくと平坦地に出ます。

等高線に沿うように屈曲して作られた小広場です。

ここには滑り台、ブランコなどの遊具と、大人向けの健康器具が設置されています。

谷の分だけ上から覆いかぶさってきますし、一本ごとの樹木もよく育っているので、ブランコが谷底に沈んだように見えます。

もっとも、上から降りてきたので谷底なのは間違いないのですが、実際は駅に近い大型マンションの隣ですので、利用は多そうです。踏み分け道を見れば、園内の通り抜けも相当あると思われます。

そして、この広場から少し南へ行くと、もう一段低くなったところに多目的広場があります。ここは、1980年代までは庭園の池だったところなので、周りは鬱蒼とした森に囲まれています。

そもそも、この池の周りは大正から昭和前半にかけて神戸や姫路の財界で活躍した牛尾健治氏の自宅でした。代替わりをしても、1970年代まではウシオ電機の社長宅「牛尾邸」として存在していましたが、いつの頃か屋敷はマンションに変わり、お庭の池は公園のグラウンドになっていました。
そして、無くなった池は、じつは神戸市の著名な公園とも関わりがある池でした。

というのは、兵庫県庁の隣にある神戸市でもっとも有名な日本庭園の「相楽園(そうらくえん)」にある船屋形(国重文)は、牛尾邸から移設されたものなのです。
もともとは江戸時代の姫路藩主が使っていた川御座船が、変遷を経て牛尾邸の庭に置かれるようになり、おそらく屋敷・庭を手放す際に神戸市に寄贈されたものと考えます。
資料によれば、この船屋形が牛尾氏から寄贈されて相楽園に移築されたのが、1980年(昭和55年)3月のことだそうです。

相楽園HPより引用して表示
http://www.sorakuen.com/

その頃の牛尾邸の様子を国土地理院の空中写真で確認すると、1979年(昭和54年)のものには池・邸宅建物がありますが、1985年(昭和60年)のものには池はなく、建物部分もマンションになっていますので、この間に大きな変化があったことは確実です。

さて続いては、尾根上(トンネルの上部)を使った第2のブロックです。
ここは尾根端に近いところは眺望を活かしたシンボル的な空間、住宅に近いところは遊び場として整備されています。

空に向かって展望台を見上げる角度は絶景ですが、展望台の真正面は騒音防止のための覆い屋根が見えているだけなので、眺望としては微妙なところです。

そこには目をつぶって左右に視線を振れば、舞子浦、明石大門、淡路の景色が一望できます。

尾根の東には、体育館や会議室の入っている「苔谷公園コミュニティセンター」も見えます。3階に突き出した塔屋のようなところは、展望室になっているのでしょうか。

展望台から少し離れ、大きめの日時計を間に挟んだ北側が、遊び場になっています。

土敷きの広場を間に挟んで、子供向けの遊具と、大人向けの健康器具とが場所を分けて配置されています。

どちらかと言えば健康器具が充実しており、子供の遊具はブランコや鉄棒など、オーソドックスなものばかりです。

子供の遊具は、公園橋を通って東側に渡った第3のブロックの方が充実しています。

私が訪ねた時もたくさんの子供が遊んでいたので、遠巻きの写真だけになってしまいます、それほど背が高くないパーツがたくさんつながった複合遊具があります。

すぐ隣に充実した複合遊具があるのに、「これいるかな?」と思わせる滑り台とブランコもありました。

地元にとっては迷惑施設の明石海峡大橋の整備に際して、環境対策が重視されたと思しき施設内容となっている苔谷公園。
個人的には、地形の変化に富み、庭園の風合いも残す元祖ブロックが捨てがたいのですが、そういうことばかり言っていると爺むさくなるのでこれくらいで。

(2019年6月訪問)

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