西新宿から幡ヶ谷方面へ向けて、甲州街道の一本北のバス道を歩いていたら、渋谷区本町で「ずい道公園」という名の公園を見つけました。ずい道とは「隧道」、すなわちトンネルのことです。
公園は、バス道に沿って幅5~6×70メートルくらいで細長く続く形状をしているので、園内にはトンネルはなさそうです。
でもバス道の反対側に出て下を見下ろすと、公園の方が周りよりも5~6メートル以上は高い位置にあることがわかりました。すなわち、公園の下をトンネルが通っているのですね。
で、いちど下りてから公園を見上げたら、こんな風になっていました。トンネルの上の樹木が見えるところが公園です。
でも、次に思ったのは「なに、この地形?」ということです。
バス道と公園をあわせた幅30メートルほどの堤状のものが東西方向にずっと続いていて、それが町を分断しているためにトンネルが掘られているわけですが、堤上のものがなにか分からない。
外観的には鉄道の高架や天井川に似ていますが、周りはそういうものがある場所ではない。
...と勿体ぶって書いてみましたが、実際はその場で30秒ほど考えて、思いつくものはあったのです。
おそらく、西新宿にかつて存在した淀橋浄水場に向かう水道施設だったのでしょう。
ただ、平面的な位置関係は頭に思い浮かべられても、それがこんなに背の高い堤上に通っていたとは思いもよりませんでした。ローマの水道橋とまでは言いませんが、かなりの規模ですね。
フランスに残るローマの水道橋(ポン・デュ・ガール) エイビーロードのサイトより引用して表示 https://www.ab-road.net/europe/france/morerepo/001557.html |
帰ってから、国土地理院の1909年(明治42年)の地図で確認してみると、江戸時代からある玉川上水から分水し、甲州街道の北に敷設された「新上水」が示されていました。
同じ図を切り抜いて拡大してみると、こんな感じです。新上水が堤上に築かれて、所々にそれを渡る橋やトンネルが作られていることがよくわかります。
赤丸が現在の本公園のある箇所ですが、全体的には、トンネルで潜るよりも橋で越えている箇所の方が多いようです。
さて、そんな状況調べを終えてから現在の公園内ですが、冒頭に述べたように細長く、片側は幹線道路、反対側はガケに面しているので、できることは限られる構造です。
園内で目立っているのは、5~6体ほど置かれたコンクリート遊具。
トンネルを表しているようでもあり、動物をモチーフにしているようでもあり、なにものなのかはよくわかりません。
真横から見ると、なんとなくサルが四足で歩いているところのように見えます。
でも正面顔は擦り切れていて、やっぱりよくわかりません。
そのほかには、揺れる動物遊具。カエルとリスがいます。
カエルも、正面から見るとさっぱりなんだかわかりません。
公園名をきっかけに、この町のことを調べる機会をつくってくれた本町ずい道公園でした。
(2019年6月訪問)
0 件のコメント:
コメントを投稿