この場所は美智子皇后のご実家である旧・正田邸跡にあたり、父・正田英三郎氏が亡くなった後に相続税の物納として国に収められ、建物の取り壊しだ保存だと騒動になった挙句に結局は取り壊され、その後に品川区が購入・一部借地して、2004年(平成16年)に公園としてオープンしました。
ネムノキは美智子皇后がお好きな樹だそうで、園内の中央にもシンボルツリーとして植えられています。
■園内の案内板より「ねむの木の庭について」
この公園は、皇后陛下美智子様のご実家・正田邸の跡地に開設したものです。
昭和9年10月20日、正田家の長女としてお生まれになった皇后さまは、昭和34年4月10日、民間初の皇太子妃として皇太子殿下(現・天皇陛下)のもとへ、この地より嫁がれました。
品川区は、平成15年にこの土地を譲り受け、皇后さまがお誕生からご成婚までを過ごされた場所にふさわしい公園として整備しました。この公園には、ご成婚当時の門を再現している他、皇后さまゆかりの樹木や、お歌の中で詠まれた樹木・草花を多数植え、訪れていただいた方それぞれが皇后さまに思いを馳せていただけるようにしました。
またこの公園の園名は、皇后さまが高校生時代におつくりになった詩『ねむの木の子守歌』や、皇室に入られた後にお詠みになったお歌の中でも使われたゆかりの樹木「ねむのき」にちなんで命名いたしました。
平成16年8月 品川区長 高橋久二
園内は、このネムノキを中央において、ぐるりと一周できる園路、あとは花壇という構成です。
ただし、園路の石は両陛下ゆかりの軽井沢、の隣というにはちと遠い長野県佐久市産の鉄平石(てっぺいせき)、照明は旧・正田家の暖炉の煙突をモチーフにしたというガス灯、植えられているバラの名はプリンセス・ミチコという凝りようです。
あと、ちょっと変わっているところは、外回りがアクリル板になっているところ。
夜間の出入りをコントロールするだけなら普通のフェンスでも良いわけですが、無骨なフェンスでは庭園のイメージを損なうと考えてのことでしょう。
ただ、外回りだけでなく、園内の植栽地にも大人の背丈より少し低いくらいのアクリル板が建てられているのがよく分かりません。いったいなに狙い?
ところで、上で引用した案内板によれば「ご成婚当時の門を再現している...」となっているのですが、どうにも敷地、すなわち家の規模に対して門が大きすぎることが気になりました。 そこで毎日新聞のHPに掲載されていたご成婚当時の写真で確認してみると「婚約発表の朝、自宅から皇居に向かう美智子さま」と比べても、門柱の高さはやや高い程度。せいぜい180センチあるかないかです。
しかし現在の門は、2メートルを超えています。これを「再現」と言ってしまうところに、どことなく「礼賛」の力が働いて無理に大きく見せようとしている気もしてしまいます。そのうち明治天皇聖躅碑みたいに、見上げるほど巨大な門柱に変わっていくかも知れません。
と思っていたら、園内の掲示板に貼ってあった古いパンフレットには、「大きさは、当時より大きめ(高さ2m)です」とちゃんと書かれていました。
でも、紙に書かれた正直なコメントは剥がれ流されて無くなっていき、区長の署名付きで刻まれた言葉だけが残っていくのでしょう。
その頃には、「美智子妃記念公園」と名前を変えているかも知れないねむの木の庭でした。
(2018年4月訪問)
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