旭水(きょくすい)公園は、近鉄奈良駅とJR奈良駅とを結ぶ目抜き通りである三条通に面した小公園です。間口は10メートル、奥行きが25メートルほどですが、奥の方にはトイレと壁泉が場所を占めているため、数字よりも小さく見えます。
こうした市街地内の小広場をポケットパークと呼びますが、この公園のように「三方が隣の建物の壁に囲まれた立地で、奥に壁泉(滝)を配置」というスタイルは、今から50年ほど前にニューヨークでつくられたPaley Park(ペイリーパーク)、Greenacre Park(グリーンエーカーパーク)というポケットパークのはしりで採用されて世界中に広まったスタイルです。
ニューヨークのように周りが騒々しいところでは、滝の音が響くことで園内の落ち着きが増すといったことが言われます。
Paley Park The Cultural Landscape Foundationサイトより |
greenacre-park The Cultural Landscape Foundationサイトより |
そうした世界的にみんなが真似をするような前例と比べても仕方がないのですが、ここの場合は奥に敷地の1/4はあろうかという大きな公衆トイレがあり、そこへ向かうための大きなスロープを取っている上に座るところが少ないことなどから、全体に落ち着きのないデザインとなっています。
また、トイレの手前、道路からは見えにくい物陰に作り付けのベンチを配置している点もイマイチです。トイレに行こうとして、ここまで来たときに誰か座っていることに急に気づくと、ドキッとしてしまうことでしょう。
ついでに言うと、肝心の壁泉のデザインもさっぱりです。
昔の河川護岸のような正方形の石を積み重ねたところにチョロチョロとへばりつくように水が垂れてくるデザインで、「ここを眺めていたい」という気持ちが湧いてきません。
見ようによっては、パンツからお漏らししているようにも見えるし...
まぁ見た目は好みもあるので譲るとしても、トイレの入口と壁泉を一体化させてしまった理由がわかりません。壁泉を眺めているとトイレに出入りをする人と目があうので、なんか気恥ずかしくなってまったく落ち着けません。
繁華街沿いの限られた公共スペースに色々期待が集まったことはわかるのですが、敷地に対して詰め込みすぎの感があります。
大きなシンボルツリー、あとはテーブル&ベンチがいくつかあるだけのほうが、よほど使い勝手の良い空間になったであろう旭水公園でした。
(2018年1月訪問)
0 件のコメント:
コメントを投稿