1776/1000 石神井川沿いの小公園群-南岸(東京都北区)

2018/04/26

旧河道 親水公園 東京都 板橋区 北区

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石神井川は、小平市から東へ流れ出て、区部では練馬区、板橋区を通り、北区で隅田川へと合流する川です。
全体的には台地上を流れる緩やかな川なのですが、板橋区加賀付近からJR王子駅あたりまでの3キロくらいの区間では急に流れが早くなり、河道は沿川との高低差が10メートル以上もある渓谷になります。
ここが滝のようだということで滝野川、また徳川吉宗が故郷・紀州の川になぞらえて呼んだという逸話つきの音無川という別名もあります。
歌川広重(初代) 名所江戸百景
「王子瀧の川」

本ブログではNo.1758 音無親水公園No.1761 加賀公園が石神井川沿いにあるのですが、ほかにも川の両岸に続く遊歩道から連続する小公園がたくさんあるので、そのうちのいくつかをまとめて記録。

1)音無さくら緑地
1975年(昭和50年)前後に、蛇行していた石神井川を直線化する工事が行われた後に、元の曲流部の旧河道を埋め立てて公園としたものです。ですので、馬蹄形をした敷地を通り抜ける園路のような構造となっています。

現地には、馬蹄形がわかりやすい見取り図も設置されていました。
■現地の案内板より「音無さくら緑地」
この緑地は、石神井川の旧川を利用して出来たものです。ここには、サクラや、エゴノキ、コナラ等が植えられています。また、昔からの天然河岸も一部残っており、湧水を利用した流れもあります。
ささやかな散策をたのしんでください。

こちらが上の案内板にもある「昔からの天然河岸」だそうです。
外見的には「放ったらかしで手入れのされていない斜面林」にしか見えないのですが、明治初期に調査された貴重な自然露頭だということが解説板に記されていました。
■現地の解説板より「音無さくら緑地内旧石神井川の自然露頭」
(前略)この化石がはさまっている地層は地質学的には「東京層」と呼ばれる部分で、今から12~13万年前の下末吉海進により、現在の東京都付近が海底となった頃に形成されたものです。
明治13年(1880年)、当時東京大学に地質学・古生物学の教授としてドイツから来日していたブラウンスが応じを訪れ石神井川沿いを調査しました。かつてこの場所のすぐ北には穀物を脱穀する水車場があり、その露頭から多くの化石を採集しました。...(後略)

周囲から見れば一段低い所にあるため、この露頭付近から公園内に水が染み出しているようで、足元はかなり湿っぽくなっており、地面を避けるための板橋園路も設置されていました。
これはこれで自然やかつての風景を感じられてよいのですが、公園の利用環境としては今一つで、悩ましいところです。

園内には、「さくら橋」という石橋や、園路をまたぐ吊橋も設置されています。

上の石橋は展示用・修景用のものですが、下の吊橋は河川改修に伴って地形が変わったために、生活施設としてつくられたものではないかと思われます。

どういうことかと言いますと、下の引用図が河川改修前の当地の様子、そして下のgoogleマップが現在の様子。
もともとは川の北岸に位置していた住宅が、河川改修によって河道と切り離された屈曲部(さくら緑地)とともに川の南岸になってしまった状況が見て取れます。
日文研所蔵地図データベースより
東京都区分図北区詳細図(1947発行)

このため、さくら緑地と河道とに囲まれた数軒の家は、緑地を越えねば外部と行き来ができないために、この吊橋、また石神井川を渡る小橋が作られたのでしょう。

2)音無もみじ緑地
音無もみじ緑地は、音無さくら緑地から200メートルほど上流にあたり、さくら緑地と同じく屈曲した旧河道の形を残した敷地となっています。
ただし、旧河道を埋め立てて緑道としていたさくら緑地とは異なり、新流路と繋がったワンド状の構造となっています。

この付近には、かつては江戸名所図会にも描かれた「松橋弁財天窟」があったそうですが、現在はユリカモメなどが集まる生物生息場としての特徴の方が際立っているように見えました。
江戸名所図会「松橋弁財天窟 石神井川」

川に近づけるワンド部分のほかに、地上部には大きな広場や園地もあって、バラエティに富んだ利用方法がありそうです。

3)紅葉遊び場
もみじ緑地から上流へ200メートルほど離れ、石神井川にかかる紅葉橋、さらに滝野川もみじ小学校を越えたところにある狭小な公園が紅葉遊び場です。

名称は紅葉なのですが、植栽はサクラの方が目立ちます。
また遊び場とは名乗っていますが、ほぼスツールしか設置されていませんので、遊び方は訪れる人の創意工夫に任されます。

訪れたのが冬場だったのでよくわかりませんが、敷地の一番奥にある一本だけが、カエデの樹のように思います。

4)音無かつら緑地
5メートル四方くらいの敷地に、ほぼカツラが一本生えているだけの音無かつら緑地。

看板に嘘偽りはありませんが、わざわざ看板をかけるほどでも無いように感じました。

5)音無くぬぎ緑地
音無くぬぎ緑地は、石神井川南岸の緑地の中では北区最上流にあたり、板橋区域と接しています。
私が訪れた時には遊具の入れ替え工事が行われており、園路から柵越しに眺めることしかできませんでした。

かなり大きめの複合遊具が新たに設置されるようです。

名乗るほどもクヌギが目立っているわけではありませんが、そこそこ大きなものが何本かありました。
そして、この音無くぬぎ緑地のすぐ横手には、以前に訪ねたNo.127 柳北公園の隣にあった東京国際フランス学園が移転してきていました。

長くなったので、南岸はこのくらいで。
明日はくぬぎ緑地から歩行者専用橋を渡った北岸の公園が登場する予定です。

(2018年1月訪問)

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