「小公園」を名乗る割には約5,000平米もあって、それほど小さくない泉小公園。
1キロほど離れた隣の地区にNo.84 浦添大公園があるので、それとの対比なのか、あるいは沖縄言葉の「小(ぐゎぁ)=愛らしい、小さいといった意味あいの接尾辞」なのかも知れません。
名前の謎はさておき、敷地の半分を程高さ10メートルくらいの丘が占めており、公園も周囲も造成されて平坦~緩傾斜になっている中で、この丘がよく目立っています。
丘の頂上は展望台になっており、天気が良ければ那覇新港のあたりが眺められるはずです。私が訪れたのは小雨交じりの日でしたのでサッパリですが。
展望台の下にまわると巨大な人工滝がつくられており、この公園のシンボルになっています。
最近は節電・節水などの理由で、電動ポンプを使った噴水や流れは停止していることが多いのですが、ここはふんだんに流れています。なにぶん「泉」小公園なので、これは外すに外せないということでしょうか。
丘の反対側に回ると斜面地を使って眺めの滑り台が設置されています。
どうも元々あった古いすべり台を廃止して新しいものを設置したようなのですが、寸法その他がうまく収まっていない感じもあります。滑り台の上に向かうための階段がそばになくて、右手に見える崖沿いにグルーっと回り込まないと行けない構造になっているのです。
遊具はこれと半端な位置にある砂場くらいで、あとは広場ですので、子供たちの人気は微妙なところと思われます。
また、この公園は城間地区に含まれるのですが、公園の一角に琉球王国の時代に編まれた歌謡集『おもろそうし』に収められた、城間に関する歌の石碑があります。
石碑本体に歌そのものが刻まれており、その横に対訳が記載された解説板が設置されています。
●碑文
くすくまの あさいによ あさいによ ひろみやに
おれなおせ かみた かみ
またよしの あさいによ
●解説
<対訳>城間の長老様 長老様の広い庭に
降り直せ 神たち 神 又吉の長老様
<解説>
このおもろは、古い沖縄の神歌を集めた歌謡集『おもろそうし』の中に登場するもので、城間の長老の広い庭に、神女たちがつどい、神歌をうたい、踊りつつお祭りをする状況を詠んだものです。当時、ムラには長老(男性)がおり、祭りをする広場がいくつもあって、神々に祈る神女たちもいました。
城間を詠んだおもろは七首ほどありますが、ここに紹介したものはその中の代表的なもののの一つです。又吉は城間のとなりにあったと思われる古いムラの名前です。
区画整理事業の中で「丘頂部を残そう」、「残すからには展望台や滝を整備してシンボル性を強化しよう」とした意図が伝わってくる泉小公園でした。
(2016年1月訪問)
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