「峡通り」と書いて「はけどおり」。
「はけ」は崖地形を指す言葉で、仮名書きにしたり「峡」以外に色々な漢字を当てられたりしますが、とくに国分寺や立川など武蔵野地域に広がる、多摩川によって侵食された崖線を呼ぶ名として知られています。
峡通り樹林地は、そうした崖線上の林を周辺開発の中で少しだけ保存して、小園地として整備したものです。
構造的には、10メートルほどの高低差がある崖地を等高線に直交するような向きで切り取ったような格好になっています。
「峡通り」という通り名は、この崖沿いを住宅開発した際に付けられたものだろうと推察します。
もともとは、もっと自然のグニャグニャした崖地形だったのでしょうが、斜面部分は崩れてこないように擁壁で固められて、以前からの樹林は崖のてっぺんにだけ残っています。
でも付近の緑の多い住宅の雰囲気に馴染むように、擁壁も細かい段に切り分けられ、それぞれに花木や花などが植えられているので、高さの割には圧迫感がありません。
崖上に上ってみると、いくぶん大きめなクヌギなどが保存された周りに遊歩道が巡り、東屋も設置されています。
そして崖上の通りにも出入りできるようになっています。
樹の足元はササがビッシリと茂っていて、秋口でしたが晴れた日だったので植物の蒸すような匂いが漂っていました。
ただ、けっして広くはない敷地なのに高木の足元にササがビッシリという状況は、樹木の成長の上でも人の利用の上でも、あまり良いものだとは思えません。
もともとは里山的な利用・管理の中で維持されていた樹林を小面積で切り残したものですので、この先もずっと人が管理していかねばならないのですが、どういう姿で後の人に引き継いでいくのか、いつも悩むところです。
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