練馬区役所の所在地が、練馬区豊玉北(とよたまきた)。その区役所からいちばん近い公園が1968年(昭和43年)に開園した豊玉公園で、練馬区で初めて整備された区立公園でもあります。
ここでは、2007年(平成19年)から3年をかけて、区民らによる「みんなのタコ公園かいぎ」ワークショップによる議論などと改修がおこなわれ、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた公園として生まれ変わりました。
会議の名前のとおり、一番のシンボルとなるのはタコの滑り台。
以前から公園のシンボルでしたが、改修によって写真右手に見える手摺り付きの緩やかな階段が追加され、利用できる年代を広げたそうです。また滑り出たところにウレタンマットが設置されて安全対策も強化されています。
そのタコの足が伸びてきているかのような小さな山は、車いすを使う子供でも、ちょっと高い所に登ることができるようにと設けられた遊具です。わずかに目線が変わるだけでも、子供たちにとっては楽しいものです。
こちらの砂場も車いす利用者のことを考えて作られており、車いすに乗ったまま、高さのある台の上の砂場にアプローチすることができます。
車いすの利用がない時でも、少し高い所にある砂場、高低差のある立体的な砂場ということで遊びのバリエーションが広がります。
こちらは、背もたれやシートベルトが付いて、幼児や体の不自由な子供でも乗りやすいブランコ。
座るまでは多少の手伝いが必要でしょうが、乗ってしまえば普通のブランコと同じように遊べます。
遊具以外にも、テーブル&ベンチはテーブルの四辺のうちベンチを置かない辺をつくることで車いすやベビーカーで近づきやすくしたり、プランター花壇(レイズドベッド)も車いすのままで花づくり作業をしたり、花の香りが楽しめるようにしたりといった工夫があります。
トイレもオムツ替えなどにも使える多目的トイレがあるのはもちろん、色彩的に弱視者でも見分けの付きやすい色がサインや内装に使われています。
と、このように施設面でよく考えられているのはもちろんなのですが、この公園の良いところは、それらが押しつけがましくはなっていないところでしょう。
少し前であれば「障害者の利用を考慮に入れた!」と肩肘張ってしまったものですが、そこだけに入り込みすぎずに、植栽管理や清掃にも普通に気を配ることで「誰もが行きたくなる、行けば楽しめる」公園になっています。
それは、遊び回る子供たち、お母さん方、隣にある図書館帰り風のお年寄りや外回り中のサラリーマンなどが、公園内の好きな場所で、思い思いの時間をすごしているあたりから強く感じられました。
公園における「ユニバーサル」の意味を考えさせてくれる豊玉公園でした。
■参考資料
(公財)練馬区環境まちづくり公社 練馬まちづくりセンター.”みんなが共に遊べる公園づくり”,公園緑地、(一社)日本公園緑地協会.2013,Vol.73(5),p.31-33
■計画づくりに関わった美濃伸之 兵庫県立大教授による紹介記事
(2014年8月訪問)
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