崇仁(ABC)(すうじん(ABC))公園があるのはJR京都駅の東側、鴨川沿いの崇仁地区(下京区)です。ここは南に隣接する東九条地区(南区)と連担し、日本最大級の被差別部落として知られた地区で、昭和の中頃からは環境整備、保健福祉、産業労働、教育など様々な同和対策事業が実施されました。
ここで言う「環境整備」とは公営住宅、道路、公園などを整備することですので、その中で崇仁公園も整備されたものと思われます。
整備の経緯、事業手法はさておき、園内は昭和の団地テイストあふれるコンクリート製遊具が色々揃った楽しげな公園になっています。
まずは、公園のシンボルと言って良い「A、B、C」 。AとBの間に鉄棒が渡してあるので鉄棒装飾とも言えますが、全体的には登ったり潜ったりして遊ぶプレーウォールの一種と見てもよいと思います。
とくに「A」の遊び方に困る気もしますが。
続いて2方向に伸びた滑り台と土管トンネルの合体遊具。
滑り出たところの緩衝材となる砂場を、あえて周囲の砂遊び用の砂場とは区切ってあるところが繊細です。確かに、砂遊びをしている子供と滑り台で遊んでいる子供の交錯は避けなければなりません。
動物遊具は、決して大きくはない敷地に10頭くらい。数は多いのですが、どこかで見たことがあるような動物ばかりで、それほど新味はありません。
私の大好きな宇宙遊具。金属ポールの先に球体が付いた「アンテナ」が宇宙っぽいのです。
2つの人工衛星をつなぐラダーには、手すりもついて安全な宇宙遊泳(遊歩)が楽しめます。
パーゴラの下のスツールは、手びねりのように曲線的な窪みの付いた独特のもの。上下どちら置きでも使えるマルチなデザインですが、どことなく風呂のイスっぽいところもあります。
そして公園の入口には、お地蔵様とお社をまとめたコンパクトなお堂がありました。
右から鳥居をくぐっていくとお社、左からまっすぐ行くとお地蔵様ですが、中では繋がっています。なんだか更衣室だけ別々の混浴温泉みたいです。
と、このような崇仁公園なのですが、実は近々姿を消すことが予想されます。
それは、崇仁地区のおおむね半分くらいのエリアが再開発され、京都市立芸大が移転してくることになったからです。公園を取り囲む市営住宅はすべて取り壊され、大学に変わります(2024年くらいに移転完了を目指すとのこと)。
同和対策による不良住宅のスクラップ&市営住宅のビルドという形で都市整備がおこなわれてから50年ほどが経過したわけですが、今また違った形でのスクラップ&ビルドにより、地区の姿は根本から変わることになります。
とは言え、開設されている都市公園を完全に無くしてしまうことは法律上いろいろと難しいことも多いので、少し場所を変えて、大学のあるまちに相応しい姿で再整備されるのではないかと思われます。
●京都市HPより「京都市立芸術大学の移転整備について」
(2014年6月訪問)
資料を見ていたら、この公園の名称は「崇仁(ABC)」、公園名の読み方も「スウジン(ABC)」と書かれていることに気づいたので、記事のタイトル・本文を一部修正しました。
返信削除カッコ書きなのは、一続きで「スウジンエービーシー」なのではなく、旧称や愛称の併記なのだろうと思います。京都市には、ほかにも「カッコ書き=併記」パターンの公園が幾つかありますので、機会があればご紹介したいと思います。